組
当初、この罰当たりな合宿に乗り気では無かった僕だったが、いざ赴いてみると意外にも溶け込む事が出来た。
メンバーは、僕とSを含めて八人。
このサークルの発端たる民俗学の教授と、彼と仲のいいサークル代表の男。
ややチャラい印象のある二年生のカップル。
そして、人の好さそうな三年生の男と、彼に誘われたらしい、控え目な性格の小太りな同級生の男。以上の八人だ。
人が集まる前提でレンタルしていたらしいマイクロバスでの旅は、そんなに退屈はしなかった。
修学旅行よろしくトランプやら何やらのゲームで盛り上がったり、各々がオカルト話に花を咲かせたり、疲れたら寝たり。
そういえば、サークルに入った理由についての話で盛り上がった時があった。今回限りのゲストである僕は、会話にこそ参加しなかったが、各々がそれぞれの(本当かどうか分からないもの含め)理由を述べていき、順当な流れでSへと会話のバトンが渡された。
僕としても、何故Sがこのサークルに入ったのかが気になり、黙って耳を傾けていた。
「うーん……まぁ色々あるんだよ。色々と、ね」
返答としては、なんとも曖昧ではぐらかすかのようなものだったが。
ただ、周りは「えー」と声を上げて以降、あっという間に別の話題へと移ったが、僕はSが答えた時の奇妙な間と、何かを抱えているかのような、陰のある表情が気になって仕方が無かった。
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