第19話 彼の背中は
目の前であのような光景を見せられた後、私たちは、あの怠けた司書『松原 命都』に言われ司書室まで付いて行っていた。
「ねぇねぇ、絹宮さん」
「………何かしら? 紫藤さん」
私は、彼に付いて行っている途中、急にこの問題の被害者である紫藤さんが話しかけてきた。
紫藤さんはこの学校に来て、初めての友人で、私自身もこの性格ゆえにいろんな人から嫌われたり邪見にされたりすることが多いが紫藤さんだけはそんな私に気軽に話しかけてくれて、かついつも私の近くにいてくれる優しい友人。
「さっきの、照れていたんだよね?」
「!? な、何をっ!?」
紫藤さんの言葉に私は驚いて大きな声を上げてしまう。
「絹宮さん、ここ」
「…………ごめんなさい」
「おーい、女子高生共静かにしていろよー」
「わ、分かっているわよ!」
もう、なんでこう皆して揶揄ったするのかしら?
「………で、紫藤さん。先ほどのことですけど……」
「うん、照れていたでしょ」
「照れていません」
「へぇ~、そうかなぁ~?」
紫藤さんはニヤニヤと私の事を見てくる。
「照れていませんっ!!」
た、確かに、彼が真面目に仕事をしていて顔つきとか違くて、少しギャップに似たようなものがありましたが………そ、それでも照れてはいません! そう、自負します!
「………ふぅん、そうなんだぁ」
「な、なんですか!?」
「いいや~、なんでも~」
「……………………」
先ほどからニヤニヤと紫藤さんは私のことを見てくる。
それも何か訳がありそうな疑いの目とは違い、興味に似たような目で私のことを見てくる。
「……………本当に何ですか」
先ほどからそのような目で見られてしまうと、本当に気まずく感じてしまう。
「なんでも~」
「……………」
本当に何ですか。
私はそう思いながら、紫藤さんと共に彼の後ろに付いて行き、彼のいる司書室に向かった。
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