後悔
診察を受けた次の日『もしかしたら?』という医師と私の気持ちをよそに…夕方大出血し始めた…
止めどなく流れ出る赤ちゃんの血…
教護院で経験した時とは違う私が居た。
『お願い。踏ん張って…』
『こんなお母さんは嫌だったの?』
『頑張って…何とかしがみついてて…』
『ごめんなさい。』
そんな思いばかりだった。
この日は彦さんはバスケットの大会の為、隣県に行っていたから彦さんに連絡するかどうか私は悩みながらベットで横たわっていた。
『喜んでくれてたから…きっとガッカリするだろうな…』
彦さんに対してはそんな風に思ってた。
夜、21時前に彦さんから電話があった。
彦「もしもし?もえ?良い子にしてる?
お腹は大丈夫か?
父ちゃんはこれから懇親会だから少し早いけどお休みを言おうと思って(笑)」
前日の診察の結果を知ってる彦さんが
私と赤ちゃんを気遣っての電話だった。
この時、彦さんも私同様まだ大丈夫だと思っていた…と思う。
『彦さんには心配かけちゃいけない。』
そう思っていた私だったのに
彦さんの声を聞いたら押さえ込んでいたものが涙として一気に溢れ出てきてしまった…
彦「もえ?どうしたの?」
『声を出したらバレてしまう…』
そんな思いから私は必死に唇を噛みしめ
彦さんに答える事ができなくなっていた
彦「もえ?もえ?ねぇ?どうしたの?
もしもし?もえ???」
彦「もしかして…泣いてるの?
何か言ってくれって!もえ?!
赤ちゃんなのか?本当に?もえ!?」
もう…私の限界だった…
私「ごめんなさい…」
私は彦さんに謝る事しかできなかった。
彦「もえは大丈夫なのか?病院には行ったの?」
1度だけ彦さんに謝ることはできたけれど
声を出してしまったことで溢れてくる想いや彦父や彦母の顔…彦さんへの申し訳ない気持ちで私はまた何も話せなくなってしまっていた…
彦「とりあえず、電話切らなきゃ…
もえ?聞こえてる?電話切るよ?」
そして、彦さんは何も話せない状態になってしまった私に何度もそう言いながら電話を切った。
私は、ただひたすら心の中で皆に謝った…
今まで彦さんに出会うまで私がしてきたことで
こうやって、また新しい命も大切な人になるであろう人達の心も傷つけてしまっている事を悔やんだ。
謝る事しか出来ない自分が情けなくて…
何1つ守れない自分に腹だたしくて…
それでも何も出来ない自分を恨んだ。
どれだけ泣いたのか解らない。
この日、私は一生分の涙を流したと思えるくらい泣いた。
『後悔』しても遅いけれど
何度も『後悔』しないように生きたいと思っていたけれど…私はいつもいつも『後悔』し続けている。
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