命
私達を結婚へと後押ししたのは彦父と彦母だけではない。
彦さんとの付き合いが結婚を前提となりつつあったある日、私は彦さんに産んであげられなかった子達の話をした。
彦さんは私の話を最後までなにも言わず聞いてくれた。
途中、涙ぐんでしまう私を優しい眼差しで見つめながらも、ずっと聞いてくれた彦さんは私が話し終わると
「もえは凄いね。そんな言い辛い話をしてくれてありがとう。」
そう言いながら私の頭を撫で
「俺は今のもえがあるのも、そんな辛い思いをしてきたからだと思うから子供達には申し訳ないけど感謝しかないよ。」
そう言った…
そして
「今日から俺は2人の子持ちか(笑)
お父ちゃんは頑張らなくちゃな」
と、笑い飛ばしてくれた。
この日から彦さんの呼び名は『お父ちゃん』となった。
そして、私の新たな妊娠が発覚。
彦さんの妹さんの出来ちゃった婚に続き
兄である彦さんまで…と言うわけにはいかないということで(彦父と彦母の意見)私達は結婚に向けて急ピッチで動くことになった。
先ずは彦さんの私の両親への挨拶に始まり
今度は彦さんのご両親への報告。
そして、親同士の顔合わせ…
式の日取りと会場を決めて結納…
ここまでを私達は2ヵ月程で進めた。
何も知らない父は「なぜそんなに急ぐんだ?」と不振がっていたが、勘の良い母には隠しきれず協力してもらった。
この時、私は妊娠3ヵ月に入るところ。
彦さんと出会って8ヵ月だった。
そんなある日、私は違和感を感じた。
嫌な予感がしてトイレに行くと悪夢が再び私を襲った…
慌てて産婦人科を受診するも「安静に…」とだけ言われ帰された。
安静にと言われてもこの時、式まで後1ヵ月ちょっととなっていて引き出物やら披露宴での衣装やら、招待状やら何かとしなければならない事が山積みにあり、ゆっくりなんてしていられる状況ではなかった…
私も彦さんも子供の生命力を信じ
彦さんにも母にも協力してもらいながら
式に向けて祈るような気持ちで過ごした。
が、検診のある日…赤ちゃんの成長が止まってしまった…
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