夫婦茶碗

この日の夕食は夕方の18時にスタートした。














彦母「彦!もえさーん!」














私達は彦母に呼ばれキッチンへと向かった。














テーブルの上には彦母の気合いが感じられる程

とても豪華だった。














彦母「もえさんはここに座って♪

ほら!彦父さん、箸をお願い。彦はお茶入れて!」






私「あ、私も何かお手伝い…」




彦母「もえさんは今日はお客さんだから座ってて♪」




私「あ、すみません…」





彦母の第一印象は綺麗な人…だったけれど

何となく強い人…という印象をこの時に持った。









彦母が吸い物をよそってくれ、彦父が手渡してくれたお箸を箸置きに置き、彦さんが入れてくれた湯呑みを受け取り全員が席についた時だった…








彦父「もえさん、家は其々の夫婦に恭子が(彦母)夫婦茶碗をプレゼントしてそれで食べるんだ(笑)

彦ともえさんの茶碗も昨日、急遽買いに行ってな

それを使う気がないのなら食べる前に今ここで割ってくれ(笑)」




私は彦父の言葉を聞いて思わずギョッとした…と、思う…




私の前に座っている彦さんのお茶碗と

私の目の前に置かれたお茶碗を何度も確認した…





彦母「お父さん…そんな言い方…(笑)

でも、フクロウの柄にして良かった、

彦ともえさんの雰囲気にピッタリだったわね♪

これからも、この夫婦茶碗を使ってくれる?」





そう言われても…どう返していいものか解らず

私は完全に固まってしまっていた…




そんな私を助けてくれたのは他の誰でもない彦さんだった。




彦「もう止めてくれ!壊したいんならいいけど

そうじゃないんなら黙って見守ってくれって…

だから連れてくるの嫌だったんだよ…」





彦母「あら…でもね?彦が女の子を連れてくるのは初めてだから…親にしたら嬉しいし、こうやって来てくれたもえさんを大切にしたい気持ちがあっての行動なのよ?」




彦父「もえさん、こんな家だけど…

どうか彦を宜しくお願いします。」




彦「だから止めてくれって…」





私の顔を覗き込む彦母と、頭を下げてる彦父と…

項垂れながらも私をチラ見する彦さんとの夕食は

こんな感じで始まり…終わった。

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