逃げる。
赤ちゃんの事があってから私は1週間ほど作業を免除された。
そして、始まった教護院での元の生活…
私に起こった出来事は生徒達には体調不良で片付けてくれていたので何事もなく何かを聞かれることもなく普通に生活に戻れた。
ただ、私の勘違いなのか
それとも本当にそうだったのか今となれば解らないけれど先生方の私を見る目が以前と違う気がした。
やたらと身体を触ってくる山先生。
「もえ」と笑顔で馴れ馴れしく名前を呼び捨てにして腰を抱いてくる男子寮の先生達。
「お前みたいな女には…」
と、私だけ女扱いしてくる崎先生。
逆に私とすれ違う度、名一杯避ける藤先生…
そして教頭に至っては舌なめずりしながら上から下まで舐めるように何度も見てきた。
下心丸出しの汚いおっさん達は…生徒である私をそんな風に見ている気がしていた。
『ここの先生とかって呼ばれてる人達も所詮こんなもんなんだ。』
教護院と言われている小さな世界。
教員免許があろうが、家庭があろうが
子供が居ようが結局男は下心があるものなのだという思いが再び私を支配し始めていた。
そうなると私は強い。
『何かあったら誘えば乗ってくるだろう、』
そう思い先生達を手玉に取ろうと可愛い従順な生徒を装うようになった。
そして私のこの作戦は成功した。
始めは話し相手的なおしゃべりだった。
それがその内、静養室で先生と一升瓶を抱え飲むようになっていった。
お酒を飲み話し相手をする。
それだけでみるみる夜の私への監視が緩くなった。
そして、緩くなり始めた頃に先輩達は次々と退所していき私はこの寮のリーダーとなった。
リーダーになれば更に監視は緩くなる。
その頃を見図り私は同い年のりみを誘い教護院から逃げることに成功した。
決行したのは山先生がいつになくお酒に酔った日だった。
曇りで月もない空の下
私は父と母と来た道をりみと一緒に一気に走り抜けた…
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