妊娠。
教護院での生活は朝5時30の起床で始まる。
目覚ましなどはない。
誰かが起き上がり布団をたたみ始めると次々と起き、寮内の清掃を始める…
寮内の清掃が終わると今度は寮の周りの清掃。
ひととおりの掃除が終わると朝食を食堂に食べに学校へ行く。
不必要な会話は一切禁止。
黙々と朝ごはんを食べ、今度は校内の清掃。
校内の清掃が終われば授業が始まる。
授業は小学生レベルのものばかりだった。
そして、お昼ごはんを食べ1時間の休憩の後
敷地内の清掃や草刈りなどの軽作業をする。
夕方は17時30。
夕食が終わると自由時間となる。
そして21時消灯。
テレビは一応あるが禁止。
完全に外の情報はシャットアウトの世界。
この教護院に入り1ヶ月後、健康診断を受けた。
本来なら入所直ぐに健康診断するらしい。
が、私の場合は妊娠の可能性も考え、入所前の行動などからいつ健康診断をするのか先生方が決めたとか…
私のここの先輩が気付いた時には妊娠7ヶ月過ぎていて、お産したことから妊娠の疑いのある者は入所時の健康診断は1ヶ月後と決まったらしい。
そしてこの健康診断で私は妊娠が判明してしまう…
健康診断の後、私は静養室と呼ばれていた先生方が寝泊まりする部屋へ呼ばれた。
山「もえ、お前は妊娠している。父親は誰だ?」
私「は?」
この時、私は妊娠2ヶ月。
身に覚えはあった。
7万と引き換えに中出しを了承した人は1人だけだった。
元カレとは日にちが合わない。
絶対にあの人だ。と、確信が持てた。
私「知らない…」
私は嘘をついた。
山「こいつか?」
山先生は私の動揺を確認するかのように
紙に元カレの名前を書きながら私の顔を覗き込む。
山「それともこいつか?」
山先生は私の交遊関係を全て知っているのを私に知らせるかのように次々と私が関係を持った人の名前を書き出していった…
『どこまで知ってるの?』
そんな恐怖が私の口をつぐませた…
山「黙っていたら終わらないぞ。
お前は妊娠しているだけじゃない。
性病も貰ってるんだ…だからこれはお前だけの問題じゃない。」
新たな衝撃だった。
私「えっ?それはどういうこと?」
そう聞きながらも私は『ウソだ。』そう思った。
妊娠も性病も何の症状もなかった。
『この人は何を私から聞き出そうとしてるんだろう…
私を騙してるだけだ。』
そんな事ばかり考えながら山先生の性病の怖さや妊娠を継続させる難しさ、そして中絶するようにと説得を聞いていたが、私の頭には何1つ入って来なかった。
数十分後、山先生は諦めてくれた。
が、性病の治療をすることだけは約束させられた。
私はお薬を手渡され毎週、木曜には婦人科を受診することになった。
私は15歳にして妊娠をし、そして性病をもらっていた…
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