県外の刑事。

この日の夜は何故か元カレに抱かれ、温もりを感じながらでも眠れなかった。













朝になり、7時を回った頃に私はまだ眠っている元カレを起こした。












私「ねぇ?もう行こうよ。起きてよ。」













元カ「今何時?まだチェックアウトの時間じゃないだろ…」












私「嫌な予感がするの。ねぇ、お願いだから起きてよ。」












元カ「大丈夫だから…もう少しここに居よう…」












そう言いながら元カレは私の手を引き

ベットへ連れ込もうとした。












私「やめて。じゃぁ私1人で行くから。

だから離して!」












私の強い口調に元カレは驚いたように起き

身支度を始めた。













元カ「何でこんなに早く?」












そんな事を言いながらダラダラしている元カレに痺れを切らした私は自分の荷物を手に部屋を出た。













フロントの呼び鈴を鳴らし時計をみると時刻は8時過ぎたところだった。













私「すみません、チェックアウトお願いします。」













出てきた人にそう言うと部屋番号を聞かれた。













『こんな時に…』












この時、私はそう思った。













部屋番号を伝えると「少々お待ち下さい」そう言いホテルマンはバックヤードへ戻って行った…













なんとも言えない身体の芯からの震えが私を襲ってきた…













『早く…早く、早く。早く!』という思いだけが次々と沸いてきた…













ホ「もう少々お待ち頂けますか?」













ホテルマンはそう言うと私に座るように促してきた













ホテルマンの不気味ともとれるぎこちない笑顔に私は恐怖心を抑え軽く会釈してソファーに浅く腰かけた。












時計に目をやると既に5分過ぎていた…











しばらくするとバックヤードからもう1人のホテルマンが出てきた。












ホ2「おはようございます。お連れ様は?」













この人も笑顔だが目が笑っていなかった。













私「もうすぐ降りてくると思います。

あの、それよりまだかかりますか?」













私の問いにホテルマン2は













ホ2「あ、申し訳ございません。

只今少し立て込んでおりまして…急ぐように言って参りますので…あ、珈琲でもよろしければお入れしますね。」













私「いえ、いいです。」













ホ2「お急ぎになられますか?

お急ぎでなければ是非お飲みください。」













私「いえ、本当に結構です。」













ビジネスホテルに泊まるのは初めてだった。

だけど、明らかに時間がかかりすぎると思った。

『何かがおかしい…』私のこの思いは益々増していった。













しばらくすると、元カレがロビーへやってきた。













私「ねぇ、ここおかしくない?

何でこんなに時間がかるんだろ?

ねぇ?やっぱり昨日から何か変だよね…」













私が何度そう言っても元カレは無言だった…













時計の針は8時30分を過ぎようとしていた。













元カ「おかしいな。けど、支払いを済まさなければ警察沙汰になるよ…それより俺、電話してこなきゃいけないから財布出して。」











私「は?今?」













元カ「うん。9時までに電話するって言ってあるんだ…仕事の件で…だから財布貸して。」













仕事と言われて私は渋々財布を元カレに渡した…













元カ「ごめん、直ぐに帰ってくるから」













元カレはそう言うと外へ出ていった。














しばらくして会計がやっと終わった。













明細に目をやり別財布で支払いをし、お釣りを手にした時だった。













刑「もえだな。」













声のする方を見ると明らかに刑事と解るいで立ちの男の人2人が立っていた。













私「違います。」













私は咄嗟にウソをついた。













私のウソに刑事2人は一瞬驚いた顔をし、後ろを見る素振りをした。












刑事の視線の先には元カレが仁王立ちしていた…













『やられた…』













そう思いながらも私の身体は自然に動き

刑事と刑事の間をすり抜け元カレの向こう側の出口へと向かっていた…












刑「おい!待て!ウソをつくな!」













もう少しで元カレの横をすり抜けれる…という所で私は手を捕まれ捕まってしまった。













私「離せ!違うって!私はもえなんかじゃない!」













そう言いながら手を振り払おうとしても

男の人の力には勝てる訳がなかった…




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