初めての…。

結局、私達は九州まで来ていた。











空は暗くなり、駅から出てこの日の宿を探した。












元カ「どうする?歩いて探す?」












この頃は携帯など無い時代。













私はどこでもいいから早く休みたいと言い

駅前のビジネスホテルに宿泊することにした。













この頃のビジネスホテルはチェックアウト時のお支払だった為、とりあえず名前と住所だけを書き鍵をもらい部屋へ向かった。










部屋へ入ると私達は無言でベットに倒れ込み

ひたすら眠った。













人目を気にしながらの行動は想像以上に疲れることをこの時、初めて知った。












どれくらい眠ったのか、私はフッと目覚め

明るい外に目をやった。













カーテン越しに入ってくる明かり。













私達の地元では月明かりくらいだが

九州は違いネオンがずっとついていた…













『遠くへ来たんだ』













私は窓辺に立ち尽くしていた。













元カ「どうしたの?」













しばらくして元カレも目を覚まし、私達はカップラーメンを自販機で買い電気もつけず薄暗い中で食べ

シャワーを浴びた。













先にシャワーを浴びた元カレがベットで待つ中

私は初めて恥ずかしいと思いながらベットへ向かった。












この時、元カレも初めてではなかった。













けれど、2人ともどうしていいのか解らず

ベットに横たわり上を向いたままクスクスと笑っていた。












私が知っていて相手も私を知っている…













違うのはそれだけなのに、それだけで

こんなにも恥ずかしくて、くすぐったくて、ドキドキするんだということを知った。













私「ねぇ?しよ?」













私は元カレに抱かれたくなった。













『この気持ちのままエッチしたらどんなんだろう?』












そう思うと我慢できなくなった。













私の気持ちのある人との初めてのエッチは

戸惑いと、恥じらいと、ドキドキとしたものだった。













そして何より人の温もりを感じながら眠れた事に

心地よさと幸せを感じた。













元カレの寝息も、イビキも愛おしくて

私はいつまでも寝たフリをし続けた…。

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