ばいばい。
彼の家を後にしてから私は荒れるに荒れた。
いつも1人で行動していた私は
いつの間にか学校では問題児となり、警察にも目をつけられるようになっていた。
友達と呼べる子は1人も居なかった。
私に近づいてくる子は皆、何かしらの企みがあり、
『名前を上げたい』『あの人に近付きたい』そんな子達ばかりで思い通りに行かないと離れて行った。
写真を燃やしたあの日に誓った『1人で生きていく』という覚悟があったからか1人でも私は平気だった。
お腹が空けば見知らぬ人に身体を提供し、お金を得た。
眠りたければ知人の家に行き眠った。
気分が乗れば学校へ行き、男友達と遊び
夜になればまた誰かに声を掛けられるのを待ち
お金が貯まると皆でカラオケで夜通し騒ぎ
何度か警察にお世話になるということもあった。
そんな生活が1年近く続いたある日
偶然、元カレのお母さんと出くわしてしまった…
お「もえ?」
驚いた表情でおばちゃんは私を呼び止めた。
お「お前…家には帰ってないの?」
この時のおばちゃんの顔を私は見れなかった。
お「とりあえず家においで。」
私はおばちゃんの顔を見れないまま
おばちゃんとおばちゃんの家に向かった。
家までの道中も、家についてからも
おばちゃんは何も聞いて来なかった。
昔みたいに一緒にご飯を作り、皆の帰りを待った。
おじちゃんも私の顔を見ても何事もなかったかのように普通に接してくれ、元カレも弟君達も前と何も変わらなかった。
ただ、それが苦しくて恥ずかしくて
私はずっとヘラヘラと笑っていた。
夕食を皆で食べ終わり、お風呂にも入り
元カレの部屋で寛いでいると、おばちゃんが突然部屋にやってきた。
お「もえ?悪いことは言わない。
今日は泊まって行けばいいけど明日にはちゃんと家に帰りなさい。」
私「うん。」
私がそう答えるとおばちゃんは納得してない様子で部屋を出ていった。
彼「本気で帰るのか?」
私「まさか。」
彼「どうするつもり?」
私「お金があるから県外にでも逃げるよ。
どこか誰も私を知らないところに行く。
じゃないとまたおばちゃんに心配かけるから。」
彼「じゃぁ、俺も行く。」
子供だった私達はここで間違った決断をしてしまった。
『このままここに居てはいけない。』という思いだけが先走り次の日の朝、私達は持っているお金と数枚の着替えだけを持ち駅に向かった。
私「本当にいいの?」
彼「お前1人では行かせられないから。」
私「私は1人で大丈夫なのに。」
彼「いや、お前が出て行ってからずっと探してたのに見つからなくて…あんな想いをするのはもういい。」
私「ごめん…」
私達はお互いの意思を確認しながら
待ち時間の少ない電車の切符を買い行き先を決めないまま生まれ育った場所を後にした。
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