最初の衝撃。
私が3歳の頃、父は母も落ち着いたであろうと判断し、家族4人で生活する家を購入した。
母の運転する車の後部座席で、私はこれから通うであろう保育園を見ていた。
「もえちゃん、ここが明日からもえちゃんが通うところよ。お友達がたくさん出来るといいね。」
母にそんなことを言われたような気がする。
が、私が通うこの保育園が私達家族をバラバラにしていくとこになる…
引っ越してから、私の保育園への送りは父で
迎えは祖父の役割となった。
毎朝、父の大きな車に乗り込み保育園とは反対方向に走る。
そして、パン屋さんに寄り朝食を買って
今度は保育園を通りすぎ湖へと向かう。
湖のほとりに車をとめ父と朝食をとるのが日課だった。
そして、祖父のお迎えはいつも時間通り。
私はいつも1番か2番目にお迎えがきて
皆にバイバイと言いながら祖父の車に乗り込んでいた。
祖父も必ずスーパーに寄りお菓子を1つだけ買ってくれていた。
買い物が終わるとそのまま祖父の家へ向かい
夕方くらいに母が姉と迎えにきてくれていた。
夕食を祖父母と食べて、お風呂に入ってからの帰宅はいつもだった。
けれど、この頃は姉も母も一緒。
父は仕事で私達が寝静まってからしか帰ってこなかったけれど、朝はいつも一緒だったから寂しくなかった。
そんな幸せであろう家庭が壊れるのは一瞬だった…
「俺、お前が嫌いだ!」
突然の同級生のまぁー君の言葉と同時に
私は床に倒れこんだ…
何が自分に起きたのか解らなかった。
ただ、突然嫌いだと言われ突き飛ばされたんだ…と気付くのに時間はさほどかからなかったような気がする。
私「何よ!」
そう言いながら立ち上がると
ま「お前のかぁちゃんも嫌いだ!」
まぁー君はそう言いながら今度は倒れまいと踏ん張る私の肩を何度も突き飛ばしてきた…
やめて!と言いたいのに何故か言えず
私はひたすら倒れないように踏ん張ることしか出来なかった…
ま「お前のかぁちゃんは泥棒だ!」
そう叫びながら私の肩を押してくるまぁー君は泣いていた。
子供ながらに私はただ事じゃないような気がしていた
そんな中、騒ぎを聞きつけ先生がやってきて
まぁー君を連れて部屋から出ていった。
この事は私の中で鮮明に記憶にある。
他の事は全くないのに、この事だけは覚えている。
この後、まぁー君はどうなったのか
仲直りをして卒園したのかさえ覚えてない…
けれど、あの時のまぁー君の涙と言葉は
幼い私にとって衝撃的なことだった。
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