母の愛。

私が退院する前から母は既に父のお店に出ていた。








私にはお産の経験がない。









が、周りの人達や姉を見ていてある程度は解る。

産後1ヵ月もしない内に仕事復帰している人は居ないし、それは体力的にも大変なことなのだと思う。











それなのに、母は父のお店とはいえ働いていたという










身体がまだ回復していない中で

母は外に出ることを選んでいた。










私は退院後、昼間は母の妹である叔母に(私の1つ上の従兄弟をまだ授乳していた)母乳を貰い

夜は祖父の出ない乳を含み眠っていたらしい。










朝から夕方まで父のお店を手伝い、帰宅後は母にベッタリの姉を子守りし、手一杯だったのだろう…










幸いこの頃の私の記憶はない。










親戚が集まりワイワイやっている時に酔った叔母や祖父が教えてくれたことばかり。









本当かどうかなんて、どうでも良かった。










ただ、子供ながらに寂しくて悲しかった…









それだけだったけれど、この頃から私は

悲しいときや寂しいときには笑う子だった。









泣いたら怒られる…










わがままを言ったら捨てられる…










そんな風に思い込んでいた。









母に抱いてもらいたくて、母の車で出掛けたときは

必ず寝たフリをしていた。








けれど、母は私に声をかけ

起きないでいるとそのまま車に鍵をかけ

いつも私を置き去りにして家に帰って行った…











たまに、寝ている母に甘えたくて

母の布団に潜り込んだこともある。










そんな時、母はいつも私の頭を叩き

あっちで寝なさい!と、祖父の元へ私の手を引き連れてった…










私は母の愛だけが不足していた。

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