母の病。

私が産まれながらにして親不孝と思っている理由。








それは、私を身籠ってから母はメニエルと鬱を患った事から始まった。










何がそんなにストレスだったのか解らない。









幸せだったであろう時期の妊娠は









母にしてみれば予定外だったのか、








または、私が産まれてから数年後に発覚する

母の闇からきたものなのか…








今となっては母に聞いてみても解らない…









ただ、ハッキリしていることは










何度も私を道づれに死のうとしたことだけ。










姉を残し、泣きじゃくる姉の目の前で

列車に飛び込もうとしたり…









アパートの階段から落ちてみたり…









川に身を投げてみたり…









それでも私と死ねなかった母。










この頃にはメニエルも鬱もさほど知られていない時代。









父は主治医に任せるのを辞め









私が産まれる数か月前に会社を辞め









幼い姉と母と共に故郷へ帰った。











この時に貯蓄していたお金で買った土地にお店を構え









残りのお金で盛大な結婚式を挙げ











母が落ち着くまで…と、母の実家に身を寄せた。











実家に帰ると母は少しずつ落ち着き始め










家に居てもまたいつ何をするか解らないからと










大きなお腹で父のお店を手伝うようになった。










そして、ある日の夜










突然の破水。











私は予定日よりも1ヵ月近く早く産まれた…










母の話しによると、右手と左足が破水と同時に出てしまったらしく









出産までに、何度も死ぬ程の苦しみと痛みに教われ

気を失いかけながらの苦痛の出産だったらしい。










そして、何とか産まれた私はへその緒が首に巻き付いており、血の気はなく、産声も聞けなかったとか











母は、そんな私を横目に出産後すぐに気を失った…











母が気が付くと父から私の無事を知らされホッとしたのもつかの間…











保育器の中で眠る私を見るだけで

抱くことすら許されなかったらしい。











結局、私は母に抱かれることなく










母の退院から遅れること1ヵ月…










やっと、両親のもとへ帰れた。

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