新旧最強プレイヤー6
【RAVEN目線】
「逃したか……」
メアがいた場所には20mほどの穴がぽっかりと空いており、その穴は一つ下だけでなくもっと下の階へと続いていた。
「瓦礫と一緒に重みで貫通していったのか」
「流石に今のじゃ死んでないよな?」
「たぶん」
「ここから飛び降りて行けると思う?」
「いやぁ無理でしょ。素直に階段から行った方がいいんじゃない」
「だよなぁ」
メアを倒すとクエスト成功のような画面が表示されるのかどうか分からない。
この高さから落ちた場合ぐらいじゃCPUのメアは死なないだろう。
こんなチャンスはもう二度とない。
確実に仕留めたい。
「RAVEN、
「間違いなく。この短期間で運営が修正入れてるわけがないですから」
「よし、もうあまり時間がない。さっさとメアを探すぞ」
───《数日前》───
「メアを倒す算段がある?」
「はい。普通に戦ったんじゃ厳しい相手ですけど、つい最近、こんな情報が流れてまして」
俺は
「これは?」
「
「一つ封じた程度では何の解決にもならないだろう。恐らくメアは何十じゃきかないほどの魔法を持ってるぞ」
「それがですね……実はこれ、今バグが発生しているんですよ」
「バグだと?」
噂で聞いた内容を俺はノーネームさんに話した。
光の鞭に拘束された者は、実際は魔法がランダムで一つ封じられるだけなのだが現在は致命的なバグが発生しており、拘束された者は一度死ぬまで全ての魔法を発動することができなくなるというものだった。
「冗談だろ?」
「いえ、実際に試したのでマジです。ここ最近になって見つかったらしいんですよ」
「そんなバグを運営は放置してるのか?」
「ノーネームさん、俺が思うにですがこれは、運営があえて放置しているんじゃないんですか?」
「ほう……?」
今まで運営側は、パワーバランスの崩れるような致命的なバグは見つかり次第即座に修正、もしくは削除してきた。
ところが
「もうすぐマジトレはサービスを終了します。その折りにカルト的人気のあるメアを誰も倒せず終わりにしていいのかと。つまり運営はこれを使ってメアを倒せと言ってるんじゃないでしょうか」
「なるほど…………なくはない話だ」
「サービス終了が確定しているのでそもそも修正するやる気がない、とも考えられますが」
「いずれにせよ俺達にとっては光明だな」
「これをもって、俺達はメアに挑戦します」
────────────
今ごろメアは拘束が解けても魔法が使えない違和感に気付いているだろう。
運悪く逃げられてしまったが、
もはやメアはバランスブレイカーのチートキャラじゃない、そこらにいる村人Aだ。
「やっぱゲームはストレス発散できてなんぼだよなぁ」
反則技みたいな形にはなってしまったが、誰にも成し得ることができなかったことが、あと少しで達成される。
その瞬間が楽しみで仕方がない。
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