挑戦3
3つ目は
赤龍や青龍といった、得意属性ごとに別れた飛龍が生息している地帯だ。
一体一体がかなり強敵で、ちんたら戦っていると飛龍達に囲まれゲームオーバーとなる。
僕の装備している赤龍の兜は、赤龍の落とす素材を元にして錬成された鎧だ。
炎属性の攻撃に対して、かなりの耐性付与がされる。
ドロップして落ちる宝ではないので、普通の装備枠なのが良いところだ。
さっそく上空から赤龍が1体現れた。
即座に
氷壁は敵の攻撃も防げるし、今みたいに上空から振り落とすこともできるので、中々に応用の効く魔法だ。
その後、氷龍や雷龍といった様々な飛龍が現れたが、なんとか魔法を節約しつつ飛龍山脈を越えることごできた。
現在までの魔法の残り残数は、
・【
・【
・【
・【
・【
・【
・【
・【
となっていた。
風切が残り0回なのは特に問題ないけど、全負傷回復が後1度しか使えないのは中々に厳しい。
次でいかにダメージを抑えられるかが鍵だ。
ちなみにここまでで既に4時間近くかかっている。
途中セーブ出来ないのでめちゃしんどい。
でも僕はまだまだ元気だ。
飛龍山脈を越えると、鬼ヶ峰がある。
ここには鬼が住む。
知能は高くはないが、交戦的で凶暴だ。
飛龍よりも数が多く、力が強い。
近接戦闘で戦うとなるとかなり厳しい相手だが、主に魔法が有効打となるため、強力な魔法が使えれば随分と楽になる。
そのためにAランクの魔法を二つ残しておいた。
広域かつ強力な魔法だ。
鬼ヶ峰に入ってすぐに小鬼が現れた。
ここまでは普通に剣で捌ける。
多少数が多くても雷撃も使えばそれほど苦戦せずに倒すことができた。
さらに奥へと進むと体長2mはある大鬼と小鬼が入り乱れて大量に現れ始め、一人では到底処理することが出来なくなる。
そこで
大量の水が魔法陣から放たれ激流葬となって鬼達を飲み込んで行った。
即座に
そして、あと少しで抜けられるというところで、鬼神とその他鬼達が待ち受けていた。
「ヨクモ、ワレワレノナカマヲ、コロシテクレタナ!!」
だいぶお怒りのようだ。
前に一度僕に倒されたとも知らずに。
普通に戦えば瞬殺されるレベルの相手だが、前回同様、この時のためにもう一つのAランク魔法を残しておいたのだ。
「くらえ!
真っ黒の炎が鬼達の両サイドから勢いよく燃え上がり、鬼達が燃えている姿はまさに地獄の一場面のようだった。
鬼神もろとも全ての鬼が焼き尽くされた。
「よしっ! 前回よりも調子いいぞ」
前回はここでほぼ全ての魔法を使い切っていた。
ここから先には攻撃魔法はほとんどいらないんだ。
最後はクレーター荒野である。
ここにモンスターは生息していない。
だが、この広い荒野には絶えず流星群が降り注いでいる。
地面は抉れてからしばらくすると元に戻るが、すぐにまた流れ星が落ちてクレーターができるため、このような名前になっている。
僕は前回初めてここまで辿り着いた。
鬼ヶ峰までは何とか突破できたけど、あり得ない量の流星群に押し潰されて、城まで辿り着くどころか城の姿すら見ることは出来なかった。
僕が持っている
「今日は突破してやるぞ…………」
降り注ぐ流星群を目の前に、決意を口にする。
ここまで来るのに既に5時間だ。
ゲームといえど体感的には体を動かしているのと同じため、中々に疲れが出てくる。
それでも僕がここまでするのは全て、愛しきメアに会うためだ。
僕の溢れる情熱はこんなところまで突き動かすんだぜ。
「行くぞ!
駆け出した瞬間、上から流星が落ちてきた。
「氷壁!」
上空に氷壁を出現させ、流星を防ぐ。
その内に先へ進む! はずが………………。
バガァン!!!
氷壁は呆気なく破壊され、そのまま流星は僕の元へと落ちてきた。
「ちょっ……! まっ……!」
ドゴォン!!
強烈な振動と共に僕は潰された。
流星が消え、僕はクレーターの中心地にまるでヤ●チャのように転がっていた。
まだ死んではいなかった。
氷壁のおかけで少し威力が軽減されたのだろう。
「だ……
すぐに体の重みが消えた。
ダメージが全て全回復した。
だがこれで回復魔法はもう使えない。
「直ぐに移動を……!」
ドゴォン!!
直近に流星が降り落ちた。
衝撃は飛んできたがダメージはなかった。
立ち止まっている暇はないみたいだ。
僕はすぐに走り出した。
上空を見ながら流れ星の落ちてくるポイントを予測して、右へ左へとジグザグに走る。
間に合わないやつは氷壁を出して威力を軽減させ、ダメージを最小限に抑える。
「うおおおおお! 調子良い! 行けるかもしんな──────」
ドゴォン!!
視界が一瞬にして真っ暗になった。
流星の落ちてくるのが全く見えなかった。
もしかして……威力上がった?
「うう……ヤバ──────」
ドゴォン!!
ドゴォン!!
ドゴォン!!
連続で流星が降り注ぎ、僕はゴムまりのように跳ねて吹っ飛んだ。
体が鉛のように重くなっている。
死が近い。
「ぐっ…………こうなったら……
これで城の姿を拝んでから死んでやる!!
僕は跳ねた衝撃のまま空中へ浮かび、クレーター荒野のさらに先を見渡して、絶望した。
城の姿は全く見えなかったのだ。
「これは……上位ランカーが諦める理由が分かるわー……」
鬼ヶ峰から急に難易度上がりすぎだよ。
「げふっ!!」
空中に浮いてる俺に流星がぶち当たった。
その瞬間、画面が暗転し、【GAME OVER】の文字が表示された。
死んでしまったんだ。
ここまで来るのに5時間。
最終難関で10分で死亡。
…………やっぱ
誰も行きたがらない理由ってこれだよなー。
途中セーブ不可の、無理ゲー流星群。
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