挑戦2
「さて……専用の機械を装着して…………と」
頭と視界を包み込むようにゴーグルを装着し、ベッドの上に横になった僕はスイッチをオンにした。
………………動作不良無し。
………………心拍数正常。
………………その他身体機能異常無し。
………………接続完了。
見えている渦潮のようなものがゲーム感覚の画質から徐々にリアルなものへと変化されていく。
相変わらずの没入感だ。
一瞬意識が途切れたと思った後、僕は噴水の目の前に立っていた。
全ての始まりの国。
ベイジン王国だ。
────────────
初心者もまず初めはこの国に飛ばされてくるが、基本的に必要なものはここに集まっているので、僕はログインもログオフもここから始まるようにしている。
何より一番の理由は、意外にもメアの元へ行くのに一番近い拠点がここなのだ。
つまりここからメアの元に行くために外へ出た後は、宝の特殊スキルの回数を補充することも、装備変更することもできないということである。
「さて、今日はどうしようかな……」
僕は空中を二本指で左から右にスライドさせて、自分の装備画面を開いた。
手元に薄透明の盤のようなものが表示される。
☆トーシロー☆
頭→赤龍の兜
体→オルトロンの鎧
武器→
盾→
アクセ→命の指輪
☆特別装備枠☆
・ランクS【
・ランクS【
・ランクA【
・ランクA【
・ランクA【
・ランクA【
・ランクB【
・ランクB【
……我ながらバランスのいい組み合わせだと思うんだけどなぁ。
氷壁と風切はレアリティは低いけど汎用性が高くて使用回数も多いのでかなり便利だし、それ以外もかなりのレアリティのもの揃ってる。
対人専用の魔法もあるけど、メアの城に行くためにはこの組み合わせが一番惜しかった。
ちなみにアカウント名は、ほぼ自分の名前をそのまま使っている。
始めたばかりの頃は素人って意味もあったし、僕は自分の名前がそこまで嫌いじゃない。
「今日もまたメア攻略に行ってみるか」
攻略と言ってはいるが、僕の目的としてはメアに会うことだ。
そもそも城まで辿り着くことすらできていないわけだから、メアを攻略どうこうの話じゃない。
「前回はこの装備で割りかし良いところまで行ったからな……今日もこの装備でいいか」
メアのところまで辿り着くためには、ここから5つのエリアを越えていかなければならない。
まずは一つ目はオーパル大森林。
アマゾン奥地のような森で、昆虫型や哺乳類系のモンスターが主に現れる。
とはいえ、ここはそれほど難しくはない。
モンスターと出会う数は多いが、一匹一匹の強さはそれほど高くはない。
初心者が宝集めをするのにも使われる場所だ。
森林へと入り込むと、さっそくオオムカデが現れた。
僕はすぐさま剣を振り下ろす。
剣から放たれた雷撃が地面を這い、オオムカデへと直撃すると、オオムカデはギィィィィ! という悲鳴をあげて消滅した。
Sランクの宝である雷撃神の剣は、意図して剣を振るうとCランク相当の雷撃が放たれる優れ物だ。
使用回数は30回とかなり多めのため重宝される。
なのでここらへんのモンスターはこれだけで一掃できるので、実質作業ゲーみたいなものだ。
僕はサクサクと森を進んでいった。
さらに奥へと進んでいき、森を抜けるとヒュドラ毒沼湿地帯がある。
ここから難易度はグッと上がる。
全てのエリアが毒沼となっており、解毒魔法かそれに適応した宝を装備しなければまず突破することはできない。
それに加え、現れるモンスターは様々なデバフ効果を追加させる攻撃を持つ奴ばかりだ。
ほとんどのプレイヤーは状態異常で死んでしまうだろう。
僕は
しかし効果は1分しか持たないため、連続して3回ほど使った後、毒沼へと足を浸け、
毒沼へと足を浸かるとピリピリとした感覚が体を襲う。
僕は全速力で走り出し、現れるモンスターに臆することなく、剣で捌きながら足を止めず毒沼を駆け抜けた。
これを繰り返して無理矢理に毒沼を過ぎ去る。
一応、宝で毒無効の指輪もあるらしいけど、中々ゲットすることができなくて僕は持っていないからこうしてゴリ押しで進むしかない。
何とかこの沼を抜けた後、
ここまでは順調だね。
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