27.不朽の館
27.不朽の館─
─船団撃破の翌日─
「そういえば」
一同「?」
「滑走路横のあの取り壊せなかった館、ちゃんと調査してなかったな、って」
俺とリンがこの元廃村の建物を取り壊してた時に唯一壊せなかった館の調査をしようと当初思っていたんだが、かなりドタバタしていたので忘れていた
一応邪魔にならないように滑走路を作っているんだが…
「取り壊そうとした時は魔術的な物で弾かれましたし、かなり強い結界みたいですよ」
「なるほど?とりあえず行ってみるか」
〜〜〜〜〜
「……これ、とんでもない結界ですよ、1つでも高等魔術に該当する上位結界が5重に掛かってます」
「マジで?……てかそれが分かるサラも何者なの……?」
その上位結界がどんだけ凄いのかはわからんが、一体この館に何があるってんだ?
「あ〜、この痺れ具合、堪らないわ〜」
……アメリアが背中を結界に預ける奇行に走ってる
「……何やってんの?」
「結界マッサージよ、亜人圏では人気なのよ」
「………なんだそりゃ」
……大丈夫か亜人、いろいろと
イオは普通に痛がっていたが……
ああ、ハイエルフが変態だったな……
「どんなもんなんかね」
俺も結界に触れようとしたんだが…
─スカッ
何も感覚が無い
「ん?」
「え?」
「へ?」
そのまま進んでみる
………普通に入れた
「…どういうことだ?」
そこで振り返って気が付いた
ミランやサラが驚いた様に何か言っているが、何も聞こえない
完全に結界をすり抜けたようだ
よくわからんが、調査はできそうだ
俺は紙とペンを創って「このまま調査してくる」という旨を文字で伝えて中に入っていった
〜〜〜〜〜
「鍵が掛かってなかったから普通に入れたが……本当に数年間もぬけの殻だったのか…?」
屋敷の中は予想以上に綺麗だった
昨日掃除しましたと言われても信じてしまうだろう
だからこそ異質だった
「とりあえず各部屋を見ていくか」
屋敷の一階は応接室やリビング、キッチン等があり、二階には寝室や物置、個室があった
物置にはオーブの様なガラス玉みたいのがあったが……何だったんだろう
家主の書斎と思われる部屋では様々な書物が置かれていた
「かなり名のある貴族が住んでいたのかな…」
その中で気になる書物があった
「『勇者英雄譚』…この世界の魔王を倒した人物の英雄譚か…」
軽く流し読みしてみた
一つ気になる部分があった
「ふむ……魔王は倒されたのではなく『力を五つに切り離されて各地に封印された』……と?勇者は魔王を殺さなかったのか……ん?」
次のページにメモが挟まっていた
『……どうやら魔王の封印は魔力を放つ存在を通さない強力な結界を周囲に展開する魔術と、体内に魔力を保有する存在を通さない結界による二重結界のようだ、私は周囲に魔力を放出する事を止めるマジックポーションの独自開発に成功し、一つ目の結界は突破することができた』
なるほど、この屋敷に張られていた結界は一つ目の結界という事か
俺が抵抗もなく入れたのは、異世界人で魔力というのがそもそも無かったからだろう
メモは更に続く
『一つ目の結界は突破できたが、二つ目の結界はこの世界に生きる存在では確実に突破することができないという事がわかった、封印術…は………地下にあることが判明…たが、………グにある…下行…の扉に触れる……さえ………かった』
この先は劣化していてとても読めそうにない
何処の事を言っているんだ?
下って事は地下か?となると扉は1階にありそうだ
〜〜〜〜〜
永一「……○○○グと名のつくもので1階にある部屋はリビングだけだったが………どうやらアタリだったようだな」
俺の目の前には地下に繋がるであろう扉があった
リビングに不自然に置かれたソファをどかしたらその下に巧妙に隠されていたのだ
永一「『この世界に生きる存在』には触れられないみたいだが…さてさて、俺は該当するのかね?………ありゃ、開いちゃった……」
俺は慎重に扉に触れてみたが、何かに阻害される素振りもなく、あっけなく扉に触れられ、……そして開いてしまった……
〜〜〜〜〜
ここも何故か錆びてないタラップを降りた先には薄暗い地下室が広がっていた
俺は今回持ってきたM16ことAR-15にタクティカルライトを取り付け、周囲を見渡した
AR-15の呼び名はM16でもどっちでも問題ない
簡単にその辺の経緯を説明すると
AR-15は開発したアーマライト社での製品名で、M16はそのAR-15をアメリア空軍がスプリングフィールドM14の後継にするにあたってM16という名前にして採用した
だからどっちでも問題ないということなんだ
ちなみにM16は『コルトM16』というがAR-15の設計はアーマライト社、製造はコルト社やFN USA社だったりする
俺が使ってるSR-25やM4もこのAR-15の派生型だ
半世紀も前の1957年設計だが、未だに現役の超傑作銃だ
そこそこ広い部屋だろうか、照明類は見当たらないが……
永一「あれは……オーブか?かなりデカイな」
ちょうどこの部屋の真ん中辺りにかなりバスケットボール位の大きさの大型オーブ1つと、バレーボールサイズのオーブ6つが置かれていた
ギルドに置かれていたオーブは野球ボール程のサイズだった、これはかなり大きい
全てぼんやり光っているから稼働しているのだろう
更に調べていたら、奥に扉がある事に気が付いた
ガギは掛かっているが、不用心な事に近くのテーブルにガギが置かれていた
警戒しながら扉を開けると……
永一「女……少女………か?」
見た目でも頑丈そうな鎖に幾重にも拘束された少女がいた
〜〜〜〜〜
「………ロトさん……気がついたんですけど」
「………何でしょうミサキさん」
「このまま海をボートで進むのは食料的にマズいと思うんですよ…」
「……そうですね、僕たち何も持ってきてませんしね……水ならなんとかなりますが……」
「……素直に陸から行きましょう……」
「そうですね……」
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