19.棄てられた村 Ⅰ 

ー19.棄てられた村 Ⅰ ー



今日はギルドに来ている


いろいろあってギルドの依頼は受けたことがなかったし、どんなもんか試してみたくてな



「といっても結構いろんな種類があるなぁ…」


「そうですね、たまに我々軍も依頼を出したりするんで」



んー、どうしたもんか



ん?



俺はある依頼に目が止まった



「おっ、これいいかも」


「えーっと、廃村のモンスター討伐ですか、場所は……ああ、『フェニー村』ですか」


「知ってるのか?」


「ええ、ここから西にある数少ない漁村でした」



ほー、漁村だったのか


どんな海産物が穫れたのやら



「あの辺りのモンスターが住み着いているので、難易度もあまり高くなさそうですね」


「んじゃ、銃の練習にもなるしこれで決まり」



俺達は依頼を受けるために受付へ向かった



〜〜〜〜〜



「えっ、コレを受けるんですか?」


「ハイ、何か問題でも?」



依頼を受領しに行ったら受付嬢に驚かれた


何かあったのだろうか



「えぇ、実はこの依頼、かなりの数のCランク冒険者達が失敗している依頼でして、報酬もその土地周辺の所有権とかいうぶっちゃけ割に合わない物なのでギルドでも依頼ランクを上げようかと協議しているモノなんです」


「そうなんですか」



なるほど最低ランクにするには怪しすぎるな


何かあるぞ



「恐らく貴方達が失敗すれば依頼ランクが上がると思うのですが……それでもよろしいですか?」


「ああ、構わない」



こっちにはコレ(銃)がある、遠距離から撃てばだいたいなんとかなるさ




~~~~~



──移動中



「でもなんでまたいきなりギルドの依頼を?」


「んー、登録してから依頼を受けたこともなかったし、それに」


「それに?」


「いい加減、銃の扱いに慣れたくってな」



以前の帝都の一件を思い出すと、恐らく教団はこれからも邪魔してくる可能性がある


そうなれば戦闘は避けられない、あの時は咄嗟に発砲できたから良かったものの、銃に慣れてないといつ殺されるかわからん



「ってかフェニー村までどんくらい掛かるんだ?」


「馬車で約1日だったので………このくらいの速度だと三時間くらいですかね」


「なるほど、そのくらいか………因みに聞くが、村に面してるのは海?川?漁村っていうくらいならどっちかに面してるんだろ?」


「海ですね、ただここ数年隣国のイルグランテって海洋国家が幅を利かせてきて……」


「領海とかないのか?」


「領海とは……なんですか?」



おおう……まさか領海という概念がないのか………


海はみんなのものってか?


それで海軍力の強い国に攻められてるんじゃ元も子もないな……



「……で、村が廃村になったということか」


「いえ、それもあるんですが、十数年前くらいからこのあたりのモンスターの活動が活発になっていたんですよ、それで村民をザギに避難させたんで村は廃村になったんです」


「なるほどなぁ……」



「まぁ、幅を利かせている国は放っておいて、目先の目標はモンスター討伐だな」



~~~~~



村の近くまで来た



「おーいるいる……ってか小人みたいだな……あれがゴブリンってやつか?」


「よくここから見えますね……」


「まぁ、このスコープのおかげだがな」



俺はSR-25SWSに付いているスコープで廃村の状況を確認していた



見えるのは小人のようなモンスター達、俗に言う『ゴブリン』というやつだ



因みにSWSとかいいながらサプレッサーが付いていなかったので、さっき造った





「別に使いづらいのなら剣でもいいんだぞ?」


「いえ、こちらを使ってみます」


「ならいいが……」



リンは今回もファイブセブンだ


中、短距離での臨機応変な戦闘に慣れたいんだと



最初に狙撃して数を減らすか



「気付かれるかもしれないから注意しててくれ」



さて、何匹いるのやら



おし、アイツから



スカンッ



「………命中」



弾が当たったゴブリンはそのまま倒れて、周りのゴブリンが慌てはじめてるみたいだ




どんどんいくぞ


なんせコイツはセミオートマ、速射ができる



スカンッスカンッスカンッ



ばたばたと倒れていくゴブリン


表に出てる奴はこのまま撃つか




~~~~~



「よし、こんなもんか」


「なんかすごい事になってますね………というかよくあんなにいたゴブリンを一方的に……」


「技術の力だ」



撃ち殺したのはざっと50体。廃村が死体で大変な事になってる




てかCランク達が失敗した理由ってこの物量に押し負けたのでは?


初心者ランクではちと厳しいぞ



まるでホラゲーの町だ



「んじゃ突撃するか、残敵に注意してくれ」


「はい!」



~~~~~




あれから建物の中を一つ一つ確認していくが、モンスターはほとんど殲滅していたようだ



途中、撃ち漏らしたモンスターと遭遇もしたが、リンがサクッと倒していた



どうやら仲間が外でやられてたから警戒していたみたいだった



「これで依頼は完了なのか?随分呆気なかった気が」


「後はモンスターの遺体を燃やして終わりです」


「ん?なんか一部を剥ぎ取ったりしないの?」



そいつが仕事をちゃんとしてるかわかんなくね?



「あ、それならギルドで貰ったカードを見てみてください」


「ん、これ?」



ただのカードだと思ってたけど、何かあるの?



「このカードのこの『討伐数』って所に触れてください」


「ほい……ってうおっ!」



カードからホログラムみたいのが出てきた


なにこれハイテク



「ここで自分はどのモンスターをどれだけ倒したかわかるんですよ」


「すげぇ……これは魔術?」


「ええ、そうです、カードに魔術が組み込まれています」



魔術ッテ、スゲー




そのあとモンスターの遺体の処理をしてザギに戻った


ちなみに正確な討伐数は53体、リンが10体だった



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