18.四十五口径三年式四一糎砲

ー18.四十五口径三年式四一糎砲ー



「大砲って……今私達が開発中のやつでしょ、君の国の大砲はこんなに巨大なの?」


「いや、今はもっと小型化してるよ、こいつは70年も前に軍艦に載せてた砲……それも大口径砲なんだが……」



「41cm砲を載せてた長門は水爆実験で、陸奥は謎の爆沈で両方とも沈んだはず……コピーして召喚されたとはいえ、こんなに状態のいい砲、しかも砲塔下部まであるなんてどういうことだ?」


「所々わかない単語があったけど、状態については魔法でなんとかなるよ?」



マジか



「便利だな、魔法」


「まぁねー、お陰で技術の発展が遅れ気味だけど」



なるほど、ということはこの砲は『陸奥』爆沈後に引き上げられたあのよく見る『ひっくり返って砲身から水ダバァしてる写真』の砲塔か


それをこの世界の人たちは魔法で状態を復元したが、結局どういう物かよくわからなくて棄てたのか



まぁ、そもそも逆さまだし使えんがな




「それで、コレの事説明してもらえるかな?」


「わかった、ちと長くなるがいいか?」




~~~~~




「こいつの正式名称は四五口径三年式四一糎砲。最大射程38.4km、有効射程は25km。重量は約1000t。砲弾1発の重量は約1000kg。開発当時世界最大級の戦艦用主砲だったよ。搭載した艦は長門型戦艦の長門と陸奥。どちらもこいつを4基搭載してた………とまぁこんな感じかねぇ」



「………なんか凄すぎて逆にわかんないです」


「うーん、専門外っ」


「お、同じく」



「だよな………」



まあ仕方ない


ちなみに以前リンに聞いてみたが、この世界でもメートル法が通じるらしく、縮尺も変わらなかった


なんでも100年近く前に現れた『賢者』が布教したようだ


恐らく俺の世界の人間だったのだろう



「というかこんなの4つも載せてるって……私達の国にも一応船はあるけど、こんなの一つ載せただけでも沈没確定なのに、一体どんな船なのよ……」



「全長215.8m、最大幅28.96mの大型艦だよ、鋼鉄製の」



「………なにそれ、規模が大きすぎ」



ちなみにこんなデカイのを数十隻、大小数えて約数百隻揃えても戦争には負けたんだがな


月刊空母やら週刊空母やら日刊駆逐艦とかやってのける国はやっぱりすげぇよ



戦いは物量だよ兄貴



「さてこれからどうするの?目的は達成したし戻る?」


「そうですね、そろそろ戻った方がいいかと思われます」


「流石にこんなの持って帰ろうとする奴はいないだろうし、回収対象ではあるが、持ち帰る術が無い、こいつは放置だな」


「………凄く持って帰りたい」



「「「えっ」」」



ちょ、リンさん


マジですか?





「っと忘れてた」



俺は思い出して長門砲に触れた



【四五口径三年式四一糎砲の所有権が譲渡されました】



これでコイツは『リンク』切られた訳か



【強制開放、戦艦(日本)】



ん?なんか見慣れない項目が現れたぞ



・四五口径三年式四一糎砲に触れた事で大型兵装(日本海軍)の項目が一部開放されました


・四十五口径三年式四一糎砲までの日本海軍兵装の創造が可能になりました


・長門型戦艦の創造が可能になりました


・長門型戦艦の情報を付与しました


・項目【大型兵装(日本海軍)】の創造レベルが強制的に6に上がりました



………なんかトンデモナイのが開放されたぞ


長門砲までとか言ったら帝国海軍の戦艦は大和型の兵装を除いたほぼ全てが召喚できるってことになるぞ……



しかも長門型までちゃっかり召喚できるようになってるし……



召喚できても人数が圧倒的に足りなさ過ぎて動かせないけどな!


1900人とか無理!




~~~~~



あのあと戻ってきて各人部屋に戻ったのだが、俺はあることを考えてた





「核兵器……この世界では使わせなくはないね」



改めて大戦期の兵装が召喚されていたのを目の当たりにした為に、『核兵器が召喚されている』可能性が濃厚になってしまった



しかも教団の幹部には『見ず知らずの武器を扱えるようにする』とかいうトンデモ魔術の持ち主もいるらしいしな



奴等に核兵器が発見、解析される前に回収しなければならない



この事はまだ他の連中には言えんな


変に不安を煽りたくもないし



「そんな事よりも、だ」



俺の能力で物を造るには二つ方法があったな



今主に使ってる『名前から造る』方法と



『頭の中でイメージして造る』方法



俺はこの二つ目のやり方をまだ一度も試した事が無いんだが



「イメージなら『オリジナルの物』も造れるんじゃないかなぁ」



恐らくは材質、形状、内部構造をハッキリさせてないと造れないだろうな



「ちょいと試してみるか」



~~~~~



「じゃあ手始めに鉄板でも」



俺は『縦10cm、横10cm、厚さ4mm、材質:鉄』の鉄板を造ってみることにした



「出来るのかねぇ」



ベッドに向けて手を構え、目を瞑って造る、すると



トスッ



っと、物がベッドに落ちる音が聞こえた



「………お、ちゃんとできてる」



どうやら鉄板とかはできるようだな



細かい物はまだ造れないけど、練習してけば何でも作れそうだ


パーツ一つ一つ造っていって組み立てる事もできるだろうし




「あ、コレ、設計図描いてそれを造る事もできるんじゃ………?」



開発関係の人たちってこんな感じなんだろうか



てか材質問わない人間3Dプリンターになれるぞ、これ



なんか楽しくなってきた





とりあえず明日は資金稼ぎの為にギルドに行こう




そう思いながら寝る俺であった



え?資金も造ってしまえって?


貨幣偽造は犯罪だよ……?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る