17.『灰色の塔』の正体
ー17.『灰色の塔』の正体ー
───翌日───
「─あれ、乗り物が増えてる」
「おはよう、リン。ああ、流石にアレ(2ドアインプ)で四人乗ることは出来ても若干キツいからな」
「今回のは何だか箱みたいですね」
「………うーん、箱、なのかなぁ」
今回造ったのはインプレッサ、ではなくステージアを造った
しかも260RSである
乗るなら、260に乗ってみたいじゃん?
SUVやランエボでも良かったんだが、何分日産車やスバル車が好きでね、ステージアもその一つだったり
あまりオフロードには向いていないとは思うが、この世界の未舗装路でも馬車が行き交っているから多少は整地されているので問題はない
パルサーGTI-R?いや、確かにラリー出てたし面白そうだけどもさ
絶対トばしちゃうじゃん?
「エルマスさんと案内役の人が来れば出発するか」
なんだか嫌ーな予感がするけど
~~~~~
「いやー、ごめんね?」
予想通り彼女は寝坊した
逆に今回の案内役の人に起こされたそうな
昨日の会議の状態からして大体予想は出来てたよ、うん
「寝坊したのは仕方ないです、…でその人が?」
「ふぇ、あ、はいっ!ミアです!」
「ミアさんね、今日はよろしく」
「は、はいっ」
………本当に諜報員……なんだよな?
めっちゃオドオドしてんだけど……
「エルマスさん」
「何さー」
「(彼女、本当に諜報員?凄くオドオドしてんだけど)」
「ああ、彼女は諜報部隊には居るけど、実際は間取り図とかを見て、もしもの時の最適脱出経路とかを通話魔術で教える役なんだ」
なるほどな、オペレーターって訳か
てかそんな魔術まであるのか、便利だな
そりゃ科学技術も発展しないわ
大体魔術でなんとかなってそうだし
「じゃあそろそろ出発しますかね」
~~~~~
途中で昼食を摂りつつ大体四時間程で到着した
まだ昼に近いが戻る頃には夜だろうな
ただ……
「あ、この辺で止めてください」
「この辺って……森だぞ」
「森の中にあるんです」
「……迷ったりは?」
「しません、ちゃんと覚えてますから」
なら、安心だ
~~~~~
森に入る前に聞きたいことがあった
「この森ってモンスター居るのか?」
流石にモンスターの有無は聞かなきゃマズいからな
「はい、比較的弱いのが生息していますね。ただ数は少ないです」
「わかった。一応武器を持っていくか。リンも一応ファイブセブン持っていってくれ」
「はい」
「それじゃあ案内します。付いてきてください」
~~~~~
「特に何事もないな」
「確かにねー。あまりモンスターの気配も感じないし」
森に入って暫く歩いたが、特にこれといって何かあるわけでもなく平和に進んでいる
比較的安全な森で助かった
銃があるとはいえ、まだまだ初心者だからな。
下手強いのが来たら勝てる気がしない
「えっと、この辺りのはず……あっ、あれです!」
どうやら目的地に着いたようだ
そこにあったのは……
「………おいおいマジかよ」
「うーんなにこれ」
「確かに今朝聞いた通り『塔』ですけど………」
「やっぱり何度見てもよくわかりませんね……」
こいつは………
「すまない、ちょっと確認したことがあるから待っててくれないか?」
「え、ちょっと」
俺はそう断りを入れてからある場所に走り出した
この『塔』には下から2本の『筒』が生えていると聞いていたがので、その筒の先端である
『筒』と『塔』が繋がっているであろう部分は自重のせいか埋まってしまっているが、幸いにも傾いて埋まっていたので、先端は地面から露出している
「内径を計るのは、ノギスか」
俺はノギスを創造した
この能力、ちゃっかりこういう工具も造れるからホント便利
俺が確認したかったのは、この筒の内径
それでこいつがなんなのかハッキリわかる
因みに使っているノギスは大型のロングジョウノギスというやつだ
600mmまで測れるぞ
「……約410mm………ハハ、なるほどなぁ……ってことは」
「永一さん、どうしたんですか!?」
おや、皆来たのか
「いや、こいつの正体がわかっただけだよ」
「ほ、本当ですか!?」
「いやー、俺としたことが情けない。『下から生えてる』じゃなくて『上から生えてる』だったらすぐだったんだがな』
「え、ど、どういうことですか?」
「ちょ、ミアさん、揺さぶらないで」
脳が揺れるぅ
「ふぁっ、す、すいません…」
「……話を戻すがこいつは逆さまなんだよ、上のが重いから何かの拍子にひっくり返ったんだろうな。」
俺が見た写真でもひっくり返ってたからな
アレは海底から引き上げられていたヤツだったか
「で、これは一体何なのさー?」
「ああ、これは───」
「──41cm連装砲。約75年前、俺達の国が戦争してた時に『長門型戦艦』に搭載して運用していた艦載用の大砲だ」
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