16.教団そして『灰色の塔』

ー16.教団そして『灰色の塔』ー



「教団?しってるよ?」



エルマスさんがさも当然の様に言った



「知っているのか!エルマス!」


「これでも元諜報員ですよー」


「たしかにいつも寝てたりぐーたらしてるから忘れがちだけどエルって元諜報員だったね……」



こんなのんびりしてる人が諜報員………



人は見た目?性格?で判断できないな



「っとそれより、何か教団について知っていることはないか?」


「んー……といっても向こうも裏組織だからねー、本拠地とか詳しいことはわからないな」



「でも、」と彼女は続ける



「かなり前からある組織みたいよ?確か目的は『魔王の復活と世界統合』だったかな?詳しい構成団員は不明だけど、元魔王の部下も幹部にいるみたい」



魔王ねぇ………


封印されたんだっけ?


なぜ討伐じゃないのかは疑問だが



「あ、それと教団の団長なのか幹部なのかわからないけど一人厄介な魔法を使う奴がいるみたい」



厄介な魔法?俺からしてみたら魔法そのものが厄介だな


こういうのに素人が口を挟むのもアレだし、静聴してよう



「どんな魔法かはわかるか?」


「名前まではわからないけど、なんだか魔法を使った相手が武器とかすぐ扱えるようになるみたい。それが例え『今まで見たこともない』武器だとしても」



…確かに厄介だ


いや、厄介ってレベルじゃねぇぞ



最悪、『俺の世界の兵器』達と戦う可能性があるってことかよ………



燃料弾薬がすっからかんである事を祈るぜ……!



「あと今回、永一さん達が襲われたらしいけど、その流れで隊長が襲われる可能性は低いと思うな。襲った側は自身の独断で襲って来たんでしょ?」


「確かに独断みたいだったな『面倒なので殺す』とか言ってたし」



いきなりだったが確かそう言ってた


随分短期で口が緩い奴だったよ



「なら向こうも様子をみて動かないと思うよ。目立ちたくないだろうし」


「なら安心していいのか?」


「9割くらい安心していいよ。念のため私達は暫く隊長の近くで護衛をするけど」


「わかった」



会議はほとんどこれで終わりだろう



「君達はこれからどうするんだい?」


「帝都を見終わったらいろいろな国を見て回って、召喚兵器を探そうと思ったんだが……数日位はここに止まるよ、安心してと言われても心配だし。リンもそれでいいか?」


「はい!私も心配ですし問題ないです」


「わかった。ならここの客室を使うといい。あそこは寝泊まりも可能だからな」


「ありがとうございます。あ、車はどうしたらいいでしょうか?」



流石に壁の外の茂みはいい加減バレそうでな


因みに今は外の訓練場に停めてある



「あの乗り物の事か、あまり存在を知られたくもないだろうし、人目に付かないところが望ましいな………確か倉庫ならあれくらい入った筈だな……そこで問題ないなら」


「ありがとうございます。助かります」



え?街中走ってるからもう手遅れ?デスヨネ



「それではこれで一時解散とする」




~~~~~




「───ふう」



騎士に案内されて倉庫に停めた


中は案外広く、後車一台くらい入りそうだった



「へぇーこれが例の乗り物なんだ~」


「っ!?」



後ろにエルマスさんがいた


全然気配感じなかったぞ!?


って元諜報員だったか……


諜報員じゃなくてアサシンでは?



「エルマスさん、背後に立つのはやめて下さい……心臓に悪いです……」


「エルでいいよー、いやーつい癖でねー」



背後から相手の意識を刈り取る気か


そんな物騒な



「にしても凄いねー、こんなの今まで見たことないや」


「そりゃそうでしょう、あなた達は知っているから言いますけど、俺もこいつもこの世界の物じゃないんですから」



恐らく部隊長達は俺がどんな存在なのか既に知っているだろう



「その事で一つ言い忘れてた事があってね」



言い忘れてた事?



「なんですか?」


「いや、以前隊長が言ってたんじゃない?『灰色の塔』の事」


「ええ、確か場所を知ってる人が出払ってるとかで」


「その子が帰ってきたよ」



早く言ってほしかった



「ちなみにどんな塔なんですか?」


「聞いた話では、全部金属で塔みたいになってて一番下には同じ方向に二本金属の筒が生えてたみたいで、中には入れなかったって」



塔の下に二本の筒?


………よくわからんな



「まぁそれで私達の国にはそんな金属加工技術なんて無いし、ドワーフもそんなのを作ったなんて聞いたことないからね、君の世界のモノの可能性が高いの」


「なるほどなぁ」



確かに俺のいた世界ならありえそうだな



「場所知ってる子は私の部下だから今度一緒に見てきてほしいなーって。君が知っていればどんなのかわかる可能性もあるしね?もしかしたら君が探してる兵器かもしれないし」


「確かに。明日には行ってみるかな」


「お、随分早いね、じゃあこれからその子に明日の予定聞いてこようかな。そんなに遠くないし君のソレならすぐ着くんじゃないかな?」



結構近いのか、それなら日帰りで行けそうだな



エルマスさんが倉庫を出ようとして止まった



「あ、それと」


「なんですか?」


「私も見たことないから一緒に行っていいかな?」



…………



「……ええ、大丈夫ですよ」


「ありがとね、それじゃあまた明日」



倉庫は俺だけになった



「………流石に四人乗るのに2ドアはキツいよなぁ」



今のWRXは2ドアのインプレッサ クーペ WRX typeR STI versionVIだ



この際新しい車を造るか



「4ドアでオフロードねぇ……」



またインプレッサでは華が無い


そしてまだ軍用車両は作れない


車両系はまだ乗用車と試してないが小型重機だけだ




俺は新しい車を作ることにした


さてさて、何にしよう


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