15.会議

ー15.会議ー



─拝啓、過去の俺よ


─お前はもう一度『アレ』を味わう事になる



予想通り半日でザギには着いた


……もう二度としないと誓った全力走行で




「ん?お前ら帝都に向かったんじゃなかったのか?」


「ただいまですキースさん。ちょっと用事を思い出したので隊長に会いに来ました、というかなぜ東門に?」


「ああ、マルスに用があったんだが、ちょっと離れているらしくてな………何かあったのか?」


「どうやら変な連中に目を付けられてたみたいでな、こっちにも問題が起こるかもしれないって飛んで戻ってきたワケだ」


「道中でか?盗賊団か?」


「いんや、帝都でいきなり襲われた」


「は?帝都でだと?………おいおい馬車だったら今頃帝都にも到着してないだろう?……どんだけ速いんだ、あの乗り物は……」



ちょっとヤツの本気を出しただけだ



「っと用事だったな、そういうことなら俺も隊長の所に向かおう。一応部隊長だしな」


「いざって時に部隊を動かせますし、そういうことなら一緒に向かいましょう」


「他の部隊長はどうする」


「どうします?永一さん」


「うーん、俺の思い過ごしだったら恥ずかしい限りなんだが、一応呼んで貰えるとありがたいかな」



ザギはそこそこ広いからなのか東西南北の四部隊にわかれている


キースさんは南側の部隊長のようだしな



「わかった。………おい!」


「はっ!」


「このことをマルスや他の部隊長にも伝えてくれないか?」


「はっ、直ちに」


「よし、それじゃあ行こうか」




~~~~~




「隊長、南部隊隊長キース、入ります」


「キースか、どうした?」


「いえ、私ではなく、話があるのは彼らです」


「ん?どうした、随分と早い帰還だな」


「えぇ、ちょっとした事がありまして、」



俺が教団について話そうとしたら



──コンコン



「どうした、今は話中だぞ」


「東部隊隊長マルスです。呼ばれたので来たのですが……」


「あぁ、私が呼びました。なんでも緊急事態のようで部隊長全員に声を掛けるよう伝えたんです」


「そうか、となるとこの部屋では少々手狭だな。会議室に向かおう。マルスも着いてきてくれ」




~~~~~




各部隊長が揃ったから軽く自己紹介することになったんだが



「改めて自己紹介をしますね。東部隊隊長のマルスです、よろしく」


「北部隊隊長のジギルだ、同じく」


「( ˘ω˘)スヤァ…」



……既に一人寝ててびっくりしてるよ


この人、椅子に座った瞬間に寝たよ……



「……ちょっと、エル」


「はっ!?え、えっと、西部隊隊長のエルマスだよっ、皆からはエルって呼ばれてるよ!」


「エルマス、毎回思うが、なんでそんなに早く寝られるんだ?」


「え?椅子ってベッドみたいに眠くならない?」



「「「全く」」」



「はうっ」



他の部隊長全員から否定されるエルマスさん


…よく部隊長やれてるな………実力はあるって事なのか




「こ、こちらも自己紹介をしますね。金山永一です、よろしく」




「それでは始めたいんだが………エルマスよ、その枕は何処から出した?」


「え?常備品じゃないの?」



「「「「「「んな訳ない」」」」」」



「はうっ」



今度は俺やリン、それに隊長にまでツッコまれてしまうエルマスさん



流石に自由過ぎません?




~~~~~




「ふむ、ボロスの裏に『教団』か、………しかも『世界統合』ときたか……」


「しかも王国親衛隊にまでいるとなるとかなり大きい組織みたいですね……」


「俺らの部隊にいる誰かも『教団』関係者で内偵していたみたいだしな、下手したら後ろから刺されるって訳か」


「流石に裏組織だからそこまで表立って行動は出来ないとは思いたいですがね」


「俺も情報を聞き出せたのはいきなり襲い掛かってきた下っぱですし、まだまだ重要な事はわからないですね……」


「( ˘ω˘)スヤァ…」



俺は聞き出した教団の情報について話したが、誰も知らなかったようだ


………エルマスさんはもう諦めた


マルスさんは起こそうと何度か頑張ってたんだけど、彼女はそれでも寝るのでとうとう諦めてしまった



「ただその下っぱの話だと『教団』の障害になるようなら殺せってボロスに言われたようでした、隊長が『ボロスが怪しい』と言ったこともバレているらしく、ここに刺客を送ってくるのではと思ったので急いで戻ってきたんです」


「確かに伝えてくれなかったらマズかったかもしれないな」



何も知らないまま刺客を隊長室に通して、酷ければ殺されてるってのは流石にアレだからな



そこでエルマスさんが起きた



「ん~?おはよー…今何の話ー?」


「ようやく起きたか……お前は知っているか?『教団』って組織の事」



彼女の返事は以外にも



「んー?しってるよー?」



という物だった




〜〜〜〜〜



─その頃



「……なるほど、アイツは独断で襲撃した挙げ句返り討ちにあったのか」


「はい、その様です」


「そして奴等は早々に帝都から離脱したと……恐らくザギに戻ったか」


「となると今ザギを攻め落とすのは得策ではありませんね」


「そうだな、あの街は我々の計画には邪魔にしかならんが、焦る事はない、手はある」


「といいますと?」


「ザギ、いやザギネルラには海に面している村があったな」


「……ああ、『フェニー村』ですね、今は廃村でモンスターが蔓延ってますが」


「『イルグランテ王国』の同志に連絡し、フェニー村から進撃、それと同時に我々も帝都から出撃する」


「なるほど、船団を使っての挟撃ですか、確かに防御特化のあの街も耐えられないでしょうな」


「それにイルグランテには『大砲』もある、例えあの巨壁だろうと耐えられんだろうよ」


「我々の『鉄巨獣』もありますしね」


「敗北はありえんよ」


「ですが我々の出撃理由はどう説明しましょう?一応ザギも領土ですし」


「なに、『ザギに反乱の兆し有り、粛清の為』とでも言えばどうとでもなる」


「わかりました、それではイルグランテの同志に書状を出してきます」


「ああ」



─開戦の日は近い


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る