14.帝都
ー14.帝都ー
「──ここが」
「ええ、帝都ガレムです」
俺達は帝都に来ていた
無論車は近くの茂みに隠してきた
因みになぜ王国なのに帝都なのかリンに聞いたら、「もともと帝国だった名残」だそうだ
今は守ることに特化した国になっているとのこと
「観光目的で来たかったが……隊長さんからあんな注意されるとな………」
「ええ……」
隊長からは『親衛隊のボロスに気を付けろ』と言われている
なんでも親衛隊は発言力が高いらしく、その中でもボロスはナンバー2らしい
「とりあえず護身用で持ってきたが…使わないのが一番なんだよな」
俺の車の情報は恐らくこの帝都にも流れてきている。
隊長みたく大人しく済めばいいが、荒事になるかもしれないので、一応ハンドガンを持ってきている
今回俺はH&K USPの.45ACPモデル、リンにはFNファイブセブンを持たせてある
なぜ.45ACPモデルなのかと言うと、以前造ってた.45ACP弾が余りまくってるからである
ガバメント?奴はシングルアK……この話は辞めよう
ダブルイーグル?本国ユーザの評判が微妙だからな、アレ……
因みにリンは『目立た無い方がいいでしょ?』という理由で鎧を着けてない
………単にシートに座りにくかっただけでは?
「まあとりあえず帝都を見て回ろう、物騒な事考えてても始まらないし」
「そうですね、では以前言ったオススメのお店を紹介します」
「そういえばそうでした」
俺達はとりあえず見て回ることにした
~~~~~
「ボロス様、ただいま戻りました」
「うむ、ザギへの内偵、ご苦労であった。私が赴いた後何か動きがあったか?」
「はっ、一つご報告したいことが」
「よいぞ、言え」
「見知らぬ乗り物に乗った男がバーチス隊長と接触、その後護衛を一人連れてここ帝都へ向かっています」
「そうか、私の計画の障害になりそうか?」
「はい、何をするのかはわかりませんが、彼らの目的は先の戦争で召喚された兵器を集めるとの事、我々が隠し持っている『鉄巨獣』も該当しております」
「……そうかわかった。我々に楯突くのであれば排除しろ。バーチスも同じだ」
「はっ」
~~~~~
「─ここです」
「ここですか」
「ええ、ここです」
俺は先の約束通り、リンのオススメのという店に来ていた
店というよりは、『屋台』だ
「ここの『カンプブイコーフ』の肉は美味しいのですよ」
そう言うとリンは俺から見ると明らかに牛串のような物も2本買って、1本を渡してきた
「へぇ、……確かに美味いな、…ちなみにどんな生き物なんだ?」
「ええっと……こんな生き物です、黒っぽくて頭に角が生えてます。ついでに赤いものを見ると突撃してきます」
リンはサッと何か描いて渡してきた
うーん、完全に牛だコレ
しかも闘牛の類だ
そんな会話をしていると
「───ん?」
………なんか視線を感じる
リンは何かに気づいてるみたいだ
「(何故だが見られてますね)」
「(え、俺の服装かな?あんまり目立ってないと思うんだが)」
「(いえ、恐らく違いますね、怪しい気配がします)」
「(そうか…なら移動するか。然り気無く大通りを離れるぞ)」
俺は尾行を振り払う為に大通りを離れて路地に移動しようとしたんだが……
「(駄目です!魔術で追尾されてます!)」
「(──クソッ)」
相手を追尾する魔術もあるのかよ!
「使用者は?ってかよく魔術が使われてるってわかったな」
もう気づかれてるっぽいし小声の必要もないだろう
「逆探知の魔術は軍に入るとだいたい最初に教わります………と言っても皆大体覚える気がありませんが………っと使用者でしたね、あの走ってきている人です」
大通りから外れたので追尾者は隠れる必要が無くなったのか、堂々と普通に追いかけてきている
「ってことはあの追尾者をシメれば魔術は効果を無くすのか?」
「そうですが、物騒すぎません…?てかもうそれ追尾魔術無効化とか関係ないですから、迎撃してますから」
「我が身第一だ、シメるぞ」
「えぇ……」
俺は更に細い路地に向かった
~~~~~
「さて、この辺りでいいかな」
「ってここ行き止まりじゃないですか!?」
「おう、行き止まりだな、………やっちった?」
「いやそもそも貴方帝都初めでし─」
「鬼ごっこは終わりかな?」
「鬼ごっこはした覚えがないが……お前が勝手に付いてきただけだろ?ストーカー。そもそも俺らを尾行してた理由は何だ?」
「我々の将は『楯突くのであれば排除しろ』と仰っていたが、お前は正直後々面倒になりそうなので殺させて貰おう」
いや極端な………ってかこいつよく喋るな
ポロっと何か吐いてくれそうだ
「なるほど、どこの誰だかしらんが、可能性としてはボロスってやつか?………そしたら情報が早いな、ザギに内偵でも出していたのか?」
「え?ザギに!?」
「そうゆうことよ、では死ねぇ!」
ストーカーがナイフを構えて突っ込んできたが
そこそこ素早いな、でも──
「うるせぇ」
バァン!
俺の放った.45ACP弾が正確に男の右太腿を撃ち抜いた
──その程度の速さ、こっち来て何回か目の狩りの時に撃ち漏らして突撃してきたワイルドボアより遅え
あの時はマジで死を覚悟した
「ぐあっ!?なんだ!?あ、足が……!?」
「俺の質問に答えろ、ストーカー。一つ、お前達の目的は何だ?」
「ぐ……答えられるか………!」
「そうかい、それならさっきの攻撃がお前の頭に飛んでくるがよろしいか?」
「そ、そんな脅しに……」
バァン!
俺はこいつの左太腿を撃った
「アァッ!」
「答えろ」
「ヒッ、こ、答える……!答えるから殺さないでくれぇ……!」
よし、墜ちたな、チョロいぜ
~~~~~
「───ふむ、だいたい理解した。ありがとう、そして………おやすみ」
ゴッ
「ガッ………!!」
俺はUSPのグリップ部分を男の脳天目掛けて降り下ろした
まだ、撃ち殺してないだけマシだと思う
それでも鈍器だからめちゃくちゃ痛いが
「こんなことになるならサプレッサー付ければよかったな………」
「ず、随分えげつないことしますね………」
「すまんな、こうでもしないと恐らくこういうヤツは情報を吐かないと思ってな……………それにしても『教団』か………」
「しかも親衛隊ナンバー2のボロスが幹部の1人ですか……」
ボロスだけでいろいろ動くのは難しいとは思っていたが、裏組織が関わってるとはな……
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