11.思い切りは大切
ー11.思い切りは大切ー
「……それで今は旅して回ってると」
「ああ、…といってもつい最近だがな」
「それにしてもアルク村からここまで馬でも早くても5日掛かるのに……本当にそれは速いんですね」
速度標識なんてないんで楽しませて貰いました
……そしてもうしないと誓いました
「でもなんだかおかしくないですか?」
「何が?」
「その兵器達が私達に使えないのであれば集める必要がないのでは?動かすことさえできないんですから」
「いや、それでも環境には影響があるし、一部かなりヤバいのもあるからな」
召喚された兵器達の年代を見ると核兵器もドンピシャに該当しているんだ
核兵器なんてその辺に転がってたら環境破壊どころではない
そもそも神様も俺に『兵器召喚おっけ』って言ってるから文化崩壊とか技術提供とかは気にしてないと思う
恐らくは核兵器レベルのが野ざらしにされているのだ
「あ、そう言えば大丈夫なの?」
「え?何がですか?」
「一応軍属でしょ?定時報告とかは……」
「あっ………、で、でもまだ大丈夫です!今から戻れば丁度良い時間です!」
危なかった……
俺の長話に付き合わせて遅れたら凄く申し訳ない
「でもまだ後ろのそれの事もまだ聞いていないので、明日も来ますね!」
「お、おう…」
「それではまた明日!」といって彼女は帰っていったが………
何だろう、あのインプレッサを見たときの彼女の新しいおもちゃを見つけた時の子供みたいな目は
………まさかな
「さて、またお世話になりますよっと」
俺はまた車中泊をすることにした
~~~~~
「───え?辞めてきた?」
「はい、まだ正式には辞めてませんが、あなたに付いていけば面白いものが見れそうなので付いていくことにしました!」
「おいおい……」
そんな簡単に軍って辞めれるの?
リンが急遽旅のメンバーに加わった
「でも辞める決心ってそれだけでできないよな?………本音は?」
「私、結構馬車とか乗り物って好きなんですよ!それに私は技師志望です!」
やっぱりねー!?
つまり昨日のあの目はそういうことで彼女の中で「軍<趣味」になった訳だ
それでスッパリ辞められるって凄いと思うよ
「では、周りには言いませんのでソレについて教えて下さい!」
「………、何処から話す?内部構造は複雑すぎて教えきれないと思う」
「いえ、まだそれが『乗り物』としかわからないのでそこからお願いします」
「わかった」
───説明中───
「なるほど、簡単に言うと『馬の要らない馬車』ってところですか」
流石に詳しい内部構造までは教えなかったが基礎的な事は教えた
「そうだな、疲れるって概念が殆ど無いから燃料がある限りどこかが壊れるまで走り続けられるし、馬みたいに突然暴れだして振り落とされる心配も殆ど無い………部品が壊れてコントロールを失うことはたまにあるが」
「凄いですね……因みに聞きたいんですけど」
「ん?」
「あなたから見てこの世界の技術力、文明ってどのくらい遅れているんですか?」
「うーん……」
見た感じ中世ヨーロッパみたいな感じなんだよなぁ
魔法がある分文化レベルはそれよりかは上っぽいけど
「文明はなんとも言えないが、科学技術レベルがだいたい1500~1000年昔がこんな感じだったらしいし、そのくらいかな」
「せ、せんごひゃく………」
「あ、そうだ、せっかくだからコイツに乗ってみる?」
「え!?いいんですか!」
「運転はまだダメだけど、横に乗るくらいなら」
折角だし乗せてあげよう
鎧のせいでシートが変形しそうだけどな
~~~~~
「ベルト着けた?」
「はい。………凄い……椅子がこんなに柔らかいなんて……」
「これでも一般大衆向けだぞ」
「ええ!?てっきり貴族が乗るものだと」
「昔はそうだったみたいよ………それじゃあエンジンをかけるか」
キョンキャンキャンキャンキャンズドドドド………
「それじゃあ行くぞ」
俺は周辺を走り回った
マニュアル運転にも慣れてきたなぁ
~~~~~
「………乗ってみて改めてわかりました、ホントに凄いですねコレ!乗り心地も全然よかったし!」
「凄くはしゃいでたもんな」
走ってる最中、彼女は助手席で凄くはしゃいでいた。
それはもうこっちでいう『初めてスーパーカーに乗った子供』みたいなはしゃぎ方だったよ
…未舗装だから決して乗り心地はよくないと思うんだが……
あ、馬車にはサスペンションなんてモノはないのか
「あ、そうだ、ちょっとこれからこの車?で行って欲しい所があるんですけど…」
「ん?どこ?」
「私の昨日までの職場です」
「軍か……どうして?」
「私の退職条件です。『軍を辞めるかわりに件の青い物の所有者を連れてくる』というのが条件でして」
「………なるほどな」
知らぬ間に俺が交渉材料にされてる………
こっちもちょっと用があったし行ってみるか
多分軍なら兵器についても何か知っているだろうしな
それよりも今はこの国の武力衝突を止めるのが先かもしれない
俺はそう思いながら車を街に向かわせた
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