【20話の1】 側妻を置くことに決めました

 

「イルマタル様、私たちは協議の結果、妻妾問題に関して、次のような制度を整備することとなりました」

 なんでそんなに大事にするの?確かに丸投げしてしまった私が悪いのですが……

 オーレリーさんの仕切りの素晴らしいこと、生き生きとしていませんか?

 

「エヴプラクシヤ様が正妻になっていただきます」

 エヴプラクシヤさん、キョトンとしています。

 

「私は妾でいいのだが?」

「エヴプラクシヤ様のお母上はエルフ族とお聞きしています」

「モスク大公家の方ではありますが、見方を変えればエルフ族、別格でよろしいのではありませんか?」

「それに、もう夜は済ませておられるのでしょう?」


 エヴプラクシヤさんはまだ納得していないようですが、私としては望ましい話です。

「ご配慮いただきありがとうございます」

 

「古代には妻は幾人もいたそうです、事実、3代前のフラン帝国皇帝陛下におかれましては、正妻以外に2人の側妻がいました、今回、その側妻を置くことに決めました」

 側妻ですか……なんといえばいいのか……それにしても『決めました』ですよ……

 

「エヴプラクシヤ様が正妻である以上、イルマタル様の妻妾は全てイルマタル様の奴隷なっていただきます」

「側妻はモスク大公国からマトリョーナ・モスク、ラテラノ王国からベンヴェヌータ・キアッピーニ、そしてフラン帝国から私、オーレリー・トトゥの3名です」

「いろいろと、マトリョーナからイルマタル様のことは聞きました」


 これってもう、規定路線だったのではと邪推してしまいますよ?だれの思惑?考えると怖いですよ。

 表に出てくるのは、西方の3大国の高貴な女たち、国のため身を犠牲にしている構図、三国のバランスをとるためだそうですが、ここで私を担いで、手打ちをする気なのでしょうか……

 でもでもでも……今までいがみ合ってきたのですよ、戦争なども、しょっちゅうしていたのですよ……

 

 ……正確に言えば、貴方の『静かに心豊かに』という気持ちが、世界に広がり癒やしていく、と云うことになる……って、聖天様はおっしゃぃましたが、とてもこの現状は『静かに心豊かに』ではありませんよ!

 

 しかし……『気持ちが世界に広がり癒やしていく』……こちらが原則なら……

 私がどのように思い行動しても、『私の気持ちが世界に広がり癒やしていく』、ことになるのですか……

 未練を満たすために好きに生きよ……こうなることは織り込み済み……なのでしょうね……

 

 神様のお考えなら、私は別にかまいませんよ、喜んで受け入れましょう♪

 

「私もいろいろと思いがありますが、現状は理解しました、約束ですので全て受け入れますよ」

「しかしヴェロニカ・バブーリナさんと、マシャ・ノヴェソロワさんについてはどうなるのですか?」

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