【16話の2】 非力な方には手裏剣術を

 

 でも、マトリョーナさんに武術は……なにかないですかね……

 手裏剣術なら……古武術を物にしたときに手裏剣術もありました。

 有効10メートル程度ですが、これなら身体をぶれさせなければ命中させられるはず……これこれ♪


「マトリョーナさんは、手裏剣術のほうが良いかもしれませんね」

「手裏剣術?」

「まぁナイフ投げと思えば当たらずとも遠からず、マトリョーナさんは非力ですから、投擲系がベストでしょう」

 棒手裏剣なら、さりげなく出せますからね、ポケットから出す振りをして……

 近くに木がありましたので投げて見せました。

 

 下手投げ、上手投げ、近づきながら、遠ざかりながら、と……

 

 なんせ実戦を想定していますので、わざわざ立ち止まってなんてしませんよ。

 

「あの……私たちも教えてくださいませんか?」

 他の方もやって来ました。

 ベンヴェヌータさんやオーレリーさんもいます。

 

「私たちでもナイフ投げぐらいなら、出来るかなと思いまして……」

「いいですよ、でも投げるのはナイフではなく、このような物、棒手裏剣というものです」

「勿論ナイフの1種ともいえますので、いざとなれば突き刺す事ぐらいできます」


 ちょうど時間が来ましたので、

「では明日から、棒手裏剣は明日には皆様に1本ずつ差し上げますので、残りは鍛冶屋にでも頼んでいただけますか?」

 まぁこのオスク・スクールの学生さんですから、お金に困る方はいないはずです。

 

 初めてのオスク・スクールはこうして終わりました。

 

 そそくさと宿舎がわりのキャンピングトレーラーに帰りますと、ヴェロニカさんとマシャさんが、だれかと何やら押し問答をしていました。

「だから先ほどからいっていますが、お嬢様方は学生です」

「ましてイルマタル様とエヴプラクシヤ様は初めての登校日、お疲れでしょうから、晩餐会のお誘いはご遠慮いたします、そのようにお伝えください」

「無礼な」と、相手は怒って帰って行きました。

 

「どうしたの?」

「帝国の事務所から、イルマタル様への晩餐会の招待でしたが、お断りいたしました」

「どうして?」

「不測の事態があってはなりませんので!」

 不測の事態ね……

 

「確かに今日は疲れました、ご飯を食べてお風呂にはいって、早く寝ましょう」

 

 夕食はステーキでした、肉はオスクの商店で買い付けたそうです。

 マシャさんが折りたたみの湯船をセットし、お湯を張ってくれました。

 1日の疲れをほぐしましょうね♪

 

 ベッドメイキングがしてありましたので、エヴプラクシヤさんと抱き合って……

 いつのまにか寝ていました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る