【15話の2】 オスク・スクールの第1日に刺客?です。
「そう、貴女がイルマタルさんですか」
優しい顔しながら、値踏みするような視線をくれたオーレリーさんです。
「こちらは先ほどお友達になったベンヴェヌータさん」
紹介したのですが、
「久しぶりですね、去年の夏至祭以来?」
ベンヴェヌータさん、知り合いのようです。
「そうですね、帝都ブルタの夏至の舞踏会でした」
「ところで王国の公爵令嬢がオスク・スクールに編入とは珍しい」
ベンヴェヌータさん、ラテラノ王国の公爵令嬢だったのですね。
「貴女こそ、フラン皇帝陛下の妹のご令嬢」
「たしか父上は侯爵のはず、わざわざオスク・スクールに来ることもなかったのでは?」
ほう、オーレリーさんは侯爵令嬢ですか。
「私の家は侯爵家、いつかだれかの妻か妾になる身ですから、いろいろ学んでおく方がいいと、皇帝陛下に云われたのです」
「ほう、私も王より似たようなことを云われ、来てみたら同じクラスにイルマタルさんがいて、親しくしていただく事になった」
「私も姫騎士エヴプラクシヤさんから、イルマタルさんの事は色々教えていただきました」
なんなのでしょう、この問答は……露骨なのですが……
大公が云っていた通り、私を取り込みに来ているのかしらね……これ以上の厄介事はさけなくては……
「あらイルマタル姉様、私に武術を教えてくださる?ねっ、エヴプラクシヤ姉様もご一緒に、はやく!」
マトリョーナさんに強引に引っ張られて……やれやれ、助かりました。
「イルマタル様、気をつけてくださいね、どう見ても帝国と王国の美人局、刺客です!」
いやいや、マトリョーナさん、貴女も大公国の美人局、刺客ではないのですか?
しかもヴェロニカさんとマシャさんが控えていますし……
「そうなのか!ならば叩きのめさねば!」
エヴプラクシヤさん、さっきまでオーレリーさんと、親しそうに話していたのですよ!
だからポンコツって、私に評価されるのですよ!
「なんとか距離をおきますが、なぜ私が対象に?」
「イルマタル様の髪が原因です、なにせ魔物がおそれて近づかない、西に行くほど魔物は少なくなりますが、それでも通商路の警備は大変なのです」
「そこへ魔物除けが出てきた、それはイルマタル様がらみ……大公国の筆頭魔法使いが、イルマタル様の威力を感知した以上、大公国内に潜伏している、帝国や王国の間者なら探知するでしょう」
「姉様とのことも当然知っているでしょう、大公国が全力でイルマタル様の取り込みに掛かっている」
「まず帝国や王国は詳細を知っているはず、でどうするか、結論はお父様と一緒」
マトリョーナさん、凄い分析力ですが……
「理由は分かりましたが、美人局や刺客といわれてもね」
「エヴプラクシヤさんへのように、『愛おしい』と思える感情がなければ無意味でしょう?」
「そうですよね!イルマタル様!好き!大好き!」
いけない、小娘モードを誘発してしまった。
でも、不思議と悪い気はしないのですよ♪
「こら!そこ!なにを話しているか!」
教官がやって来ていました。
「武術についてだが、剣などの『刃物』と、弓などの『飛翔物』、そして徒手空拳での『無刀物』の3つを学ぶ」
「といっても君たちは女学生、男子生徒が学んでいるのを見学、参考にしながら自分の体力に合わせて練習してほしい」
偉そうにのたまった教官さんは、さっさと男子の武術授業へ。
なにこれ、要するに女学生は非力だから、男がやることを見ておれ、そんな所なのでしょうね。
実質的に自習じゃないですか!
「やれやれ、これでは自習するしかありませんね」
「イルマタル様、まずは私に剣術を教えてくれませんか?」
エヴプラクシヤさん、私の手を両手で握りしめて、見つめながらいうのですよ。
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