【13話の1】 3人で一緒に1年住めばどうなるか?

 

 4日後、私はへグランドBV206を、のんびりと走らせています。

 SHERPATVでは、同乗者の大量の荷物を積み込めないのです。

 

 へグランドBV206は、全地形に適応した装軌式の関節連結型トレーラー車両、どこだって走れます。

 全長は6.9メートル、例の7日に1回に使用できる、最大使用量が倍になるときに、取り寄せたのです。

 

 勿論ディーゼルエンジン、ニュージーランドで使用していた中古でしたが未登録品、走行距離は3000キロ、程度は極上でした。

 これベンツのディーゼルを搭載しているので、米軍仕様かもしれませんね。


 定員はクーラー付きの前に6名、後ろに11名ですが、後ろには同乗者の荷物でいっぱい、屋根上のカーゴにも満載状態です。

 ブルーシートをかけ、ロープで落ちないように縛り上げているのですよ、前も後ろもです。

 

 乗っているのは5人、私、エヴプラクシヤさん、マトリョーナさんまでは理解できるのですが、なぜかヴェロニカさんが、私の担当だった侍女さんを従え乗り込んできました。

 

「姫様方とイルマタル様のお世話掛りです、本当は2、3名連れてきたかったのですが……気心の知れた侍女をつれてきました」

 

 侍女さんは、マシャ・ノヴェソロワさんとおっしゃるそうで、細面の足の長い方です。

 バストはエヴプラクシヤさんほどではありませんが、キリッとした顔をされたモデルのような方です。

 この方、魔法が使えましたよね。

 

 マシャさんを見つめながら、

「もう皆さんは私の仲間、お口を閉じてくれると、期待しています」

「お任せください、私はどこまでもイルマタル様の侍女です!」

 この後、小さく呟きましたけどね……昼も夜も……って。

 

 あの髪飾りをつけてくれています。

「それ、つけてくれたのですか?お似合いですよ」

「ありがとうございます、大事に使わせていただいています」

 と、顔を赤らめながら返事をしてくれます、可愛いですね。

 

「イルマタル様!私たちにはなにもいただいていません!」

 ちょっとふくれっ面の姫様たち。

 

「そうですね……向こうについたら差し上げますから、そんなに、むくれないの、せっかくの美貌が台無しですよ」

「いやだ、イルマタル様ったら♪」

 まったく……こんな調子で、1年間大丈夫なのでしょうかね。

 

 もうすぐ昼です、すこし休憩しましょうね。

「お昼は簡単なものでよいですか?」

「イルマタル様、あのハンバーガーといわれるものを食べたいのですが」

 某ハンバーガー店のネット注文による、宅配システムを利用して出したものですね。

「いいですよ」

 ハンバーガーとホットドッグ、オニオンフライとフレンチポテト、野菜サラダ、それにシェイクでしたね、あと、たしかチーズケーキとコーヒーをだしましたね。

 全部一つ当たり700円以下、いいですね♪

 

「本当にオスク・スクールに編入させるなんて、お父様も無茶をする」

 可愛らしいお口に、ケチャップなどつけながらの、マトリョーナさんのお言葉です。

 

「マトリョーナさんもエヴプラクシヤさんも、在校生だったのですね」

「私は違う」

「えっ、エヴプラクシヤさんも通っていると、大公様が私に云われましたけど?」

「父はよくいい加減な事を云う」

 

 ……くそ、やられた、エヴプラクシヤさんが行かなければ、私が行くわけはない。

 読まれていた……あのクソ親父!

 3人で一緒に1年住めばどうなるか、望ましい事になる確率が跳ね上がる……自分に自信がないし……

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