【11話の1】 御前試合はお気に召しまして?

 

 いよいよ試合です、いわば御前試合、景品はエヴプラクシヤさん。

 もう割り切っていますので、あの巨乳は私のものにします!

 

 ちょっと、やる気になったのですが……筆頭魔法使いという方が焦っています。

 

 どうやら火を使いたいようです。

 一瞬、ライターの火のようなものが出て、ボシュと消えるのですよ、なに、私を叩きのめすのでは?

 

 諦めたのか、水を凍らせて、何とかしようとしているようですが、ポツポツと指先からこぼれてお終い。

 

 今度は雷ですか?

 バリ……尻切れトンボでお終い、その上に音も、消え入るような音でした。

 

 凄いですね、『不可侵の加護』というより、『破邪の能力』でしょうね、トライアドもビビっていましたから。

 

「ええい!鬱陶しい!」

 

 私は火災旋風をイメージ、これを発動します。

 火が風にあおられ、すごい勢いで竜巻状になり、急速に温度が上がっていきます。

 

「まだ続けましょうか?城館が焼けこげますよ」

「分かった、イルマタル殿の勝ちだ!」

 

 次は武術ですか?

 懲りないですね、大公様は。

 

 焼けこげた地面の上で、武術試合となりました。

 相手は国軍の剣術師範、さっそく抜剣しています。

 

 『不可侵の加護』って、物理的には一応身体にあたるのですよね。

 瞬時に効かなくするそうですが、パッと見には見切っているように見えるらしいのですね。

 でも今は、圧倒的に力の差を見せなくてはならないのですからね。

 たしか、火事場の馬鹿力が苦も無く出せる私……さらに……

 

 二の太刀不要の薬丸示現流、検索すると確かに解説はありますが、技の説明などは詳しく書いていないのです。

 でも……知識とノウハウが理解でき、身についたのです。

 ほんと、とんでもないチート能力です。

 

「大公様、剣の長さぐらいの、手ごろな木を貸していただけませんか?」

 それを受け取ったのを確認した相手は、馬鹿にされたと感じたのでしょうね。

 怒り心頭のようです。

 別に私は馬鹿にしたわけではなく、純粋に殺したくなかったのですけど、まぁいいでしょう。

 

「まいる!」

 名前も名乗らずかかってきました。

 

 私は踏み込んで一撃必殺、胴に決まりました。

 

「それまで!」

 あっさりと決まりましたね。

 

「一ついわせてください、私は貴方を馬鹿にした訳ではないのですよ」

 私はスプリングフィールド・アーモリーM1Aを取り出し、着剣すると気合を込めて、城館の横に置いてある石の台の角を、ズバッとキリとばしたのです。

「無意味な殺戮はしたくないので、お許しくださいね」

 

 これで、さすがの大公も、

「わかった、エヴプラクシヤの件、認めよう、確かめるようなことをして失礼した」

「少し話がしたいので、食事を共にしたい、余とイルマタル殿と2人きりで、承知していただけるか?」

 

 すこし風向きが変わってきましたね。

 先ほどの筆頭魔法使いさんが、何事か耳打ちしています。

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