【10話の2】 やっと謁見です。

 

「あの、そろそろ着付けの時間ですが、お召し物はどうされますか?」

 服?ドレスを着るの?

「あの、大公様の前にでられる服など、持っていませんので、昨日、着ていた服と同じ様なものでよいでしょうか?」

 侍女さん、すこし戸惑った顔をしていますが、ちょうどその時、ヴェロニカさんがやってきました。

 

「まだ、お着替えしていないのですか?」

「その、イルマタル様が服をお持ちではないと……」

「それは仕方のない事、イルマタル様は旅の途中ですから、いいわ、私がお着替えを手伝うわ、貴女はいつもの仕事をしなさい」

 名残惜しそうな顔をして、侍女さんは行ってしまいます。

 

「そのですね、ドレスはもっているのですが、あまり着たことがないので……」

「昨日の恰好でいいですよ、だれも知らない服ですから、イルマタル様の生まれ故郷の正装といえばいいのです」

 昨日の恰好といえば、もんぺのセーラー服、やはりここは正規の女学生のセーラー服、そんなもの通販であったかしら……

 ありました、で、ロングスカートでなければね……ふむふむ、ありましたね。

 

 

 本物のセーラー服、昨日のセーラー服とよく似ています。

 夏至を過ぎていますので、サマーセーラー服、長袖ですよ、半袖なんて顰蹙を買いそうなのですね……


 ホワイトで抗菌防臭生地、蛇腹のグレー2本線、税込み6,300円程度、プリーツスカートは紺で丈が68、これなら膝下でしょうからね、税込み8,480円程度。

 パータイもスカートと合わせました。

 白いスクールソックスも必要、あとは靴、レディースの通学用の革靴、ローファーといわれるものです、税込み19,000円程度……

 ついでですから、冬用も取り寄せておきましょうかね♪


 高いですけど、空間倉庫を使用しましたので、後はいくらでも複製ができますね、一応これで服には困らないかも……

 新品ですからね、いいでしょう?

 昨日のものは郊外活動用にでも致しましょう。

 

 まぁこんなところでしょうね、このウェブもお気に入りに登録です……


 そうですよ、おっさんはね、女学生のセーラー服に、限りないロマンを感じるのですよ……

 自分が着るのではなくてね、眺めるのならですよ……

 ブルマなんてね♪

 

「これはお似合いですね、清楚な感じがします、これでいきましょう」

 案外にヴェロニカさん、気に入ってくれたようですね。

 やっと謁見となりました。

 

「イルマタル殿、この度は、娘を助けていただき感謝する、ところでエヴプラクシヤの件だが条件がある」

 

 大公さん、単刀直入ですね。

 

「知ってのとおり、エヴプラクシヤはあの通りの娘、イルマタル殿に貰っていただくのには、親としてなら異論はない、しかしだ、モスク家としては貴方の身分に異論がでてな……」

 

 やはり馬の骨はね……理解できますよ。

 

「聞いたところでは、イルマタル殿は魔法を極めているとか、その上に武術の腕前も名人クラスと、ヴェロニカがいっておる」

「そこで、腕前を皆の前で示していただけぬか?皆を納得させねばならぬのだ」

 

 なるほど、大公様は娘の相手の実力を知りたいということですか。

 まぁ、分からないでもないですね、エヴプラクシヤさんの怪我がなければ、たたき出されたでしょうからね。

 

「そうですね、エヴプラクシヤさんとは契りを誓いましたから、大公様にも納得していただかねばなりません、やらしていただきます」

 ぞろぞろと中庭に出ると、何人かが待ち構えていました。

 

「まずは、こちらの筆頭魔法使いと戦って、魔法の力を示していただこう」

 攻撃魔法ですか、やはり私を叩きのめしたいようですね。

 いい機会です、『不可侵の加護』の威力を、見せていただきましょう。

 

 あれ?この人、城門のところにいなかったっけ?

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