【07話の1】 妾は珍しくないのです。

 

 この世界は多妻制で、女性同士の婚姻もある。

  

 理由は男が少ない、この世界は死亡率が高い。

 家の外に出れば危険だらけ。

 盗賊などは可愛い方で、城壁の外には、化け物など、とんでもないものが徘徊している。

  

 そんなこんなで、男の死亡率はとても高い。

 で、未亡人対策で多妻制となる、しかも女同士の婚姻も許容の範囲……

  

 商人には男も女も存在する、どうやら、妾を多く持つことは、成功の証らしい。

 女性婚も多妻もあり、男も少ない以上、見目麗しい奴隷が、妾になるのは当然、商人の妾は才色兼備と決まっている。

 領主などの妾は、本当に囲われる存在だが、商家は違う……

 その証拠に、商家の妾は、領主の妾と同じように、自由民と同等の扱いとなる。

 

 街も領主の支配下だが、街にはギルドが存在している。

 ギルドは、領主に莫大な税を支払っている。

 交易はギルドが仕切っている訳で、傭兵を配下においている。

 軍事力は国軍には劣るが、侮れないらしい。

  

 どんな無謀な領主といえど、ギルドの幹部会の意見は尊重せざる得ない。

 ギルドとは、街の自由民の集合体と理解すべきなのだ。


 そうそう、奴隷商というのもあるらしい……

 奴隷は圧倒的に女性、男は貴重なのか、自由民として、傭兵や鍛冶などの力仕事についている。

 仕事はいくらでもあるのが街なのだ。

 

 私が理解したのはこの程度……

 

 当面の問題である、エヴプラクシヤさんとの同衾については、妾という存在は珍しくない、女同士の婚姻は珍しくない……

 理解した……が……エヴプラクシヤさんを抱くということは、私もエヴプラクシヤさんに抱かれる……抱かれるということが……うぅぅぅぅ……

 困った、でも……巨乳が……目の前に、チラチラしますよ……

 あれ、むんずと掴んで見たかったりして……私は変態だったようです。

 

 街までの道中、色々とヴェロニカさんに教えてもらっているのです。

  

「イルマタル様、そろそろ昼の休憩にはいります」

 ヴェロニカさんに促され、SHERPATVを停止、車外にでました。

 

 マトリョーナさんが駆け寄って、

「イルマタル様、昨夜の差し入れ料理、美味しかったですね♪」

 えっ、また出せと……

 

「たまには私が調理しましょう、といっても、簡単な物なのですけどね」

 キャベツを取り寄せようとすると不可?

 生物の範囲なのでしたね……では乾燥キャベツは……取り寄せできました、生きていない、生物ではないとの判定ですね。

 

 ならお肉は?

 取り寄せできました、もちろん、700円で買える豚肉ですけどね。

 

 卵はどうですかね?

 おや、選べるのと選べないのがある……

 わかった、無精卵しか選べないのだ、無精卵は、絶対にひよこは生まれない、生物とは認められない……で卵を取り寄せました。

 

 材料はこれでOK、カセット式のガスボンベと、ガスコンロをだして、あとはフライパンと……調味料も……調理台もね。

 食材以外は、空間倉庫を使いました、その結果はカタログに登録されています。

 

 乾燥キャベツを戻してキャベツの卵炒め。

 豚肉の生姜炒め。

 

 ネット通販にキャベツミンチカツという物が98円でありましたから、これを1人あたり3個ほど。

 あとはパンですが……中華風の蒸しパンは……なかなかないですね……

 おっ、あった、あった、おぉ中華街のお店ですよ。

 小籠包や餃子もある……ふむふむ、後日、賞味しなくてはね……

 飲み物はウーロン茶のペットボトルでいいでしょう。

 

 SHERPATVの中で、材料など一式だして堂々と調理しました。

「私の手料理ですから、大したものではありませんが、どうぞ召し上がれ」

 ヴェロニカさんが兵士をこき使い、どこからかテーブルとイスを持ってきました。

 

 エヴプラクシヤさんの足の痛みも、売薬の痛み止めで良いみたいです。

 フリーハンドの松葉杖にも、なれたようで元気に歩いています。

 やはりこの方、姫騎士なんて呼ばれているのは、伊達ではないようです、身体が丈夫なのでしょうね。

 

「足はどうですか?」

「薬が効いているのか、痛みはほとんどありません、それに、この装具は素晴らしい物ですね、いかほどするのですか?」

「代金はね……私は昨日一晩考えた結果、貴女をいただく以上、ただでいいですよ」

 エヴプラクシヤさんの頬は、バラ色に染まりました。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る