【06話の2】 どうしてこうなるの?

 

「わかりました、完敗です、でもいいのですか?奴隷ですよ」

「何度もいいましたが問題ありません!私の愛は本物です!」

 なんかヒートアップしていませんか?

 

 とにかくお父様の大公さんが、どういうかですよ、何処の馬の骨とも知れない私に、大事な娘を奴隷にくれるわけはない……

 

 そうですよね、なんといっても大公家、ある意味、王様でしょうからね、建前もあるでしょうし……

 

「とにかくお父様の返事次第ですから、そうですね、結論が出るまで待ちましょう」

 白旗を掲げることにしました。

 

 この世界の女性って……肉食なのですね……獰猛です……

 

「では明日、私たちと同道してくださいね♪宮殿に部屋を用意させますから♪」

 マトリョーナさんが締めるようにいいました。

 

 翌日、私は運転手、3人の女性を乗せて、ヴェロニカさんの案内で、のろのろとSHERPATVをころがしています。

 周りは大公領の国軍が固めています。

 

「なにか護衛というよりは、監視されているような……」

「そうともいえますね、イルマタル様が逃げそうですからね!」

 助手席のヴェロニカさん。

 

 後ろでは姉妹が、

「姉様、婚姻の式はどうされますか?」

「私は妾になるわけだから、そんなに華々しくはできない」

「私自身も妾の娘であるからな、国を挙げてとはいかない、親しき友人や家族に祝福される、極々ささやかな式にするしかない」

「お父様がそんな式、承知するかしら……」

 そんな話が聞こえてきます。

 

 ヴェロニカさんが、

「エヴプラクシヤ様の婚姻ですから、ご本人が望まれても、民衆が納得しません」

「イルマタル様、エヴプラクシヤ様は、民衆には大変な人気なのですよ」

「姫騎士様、姫騎士様って大変なのですよ」

 

「そうなのですか……それなら、どこの馬の骨ともわからない、私が相手では役不足でしょう」

「このまま足が治らなくても、伴侶なら山ほどおられるでしょう、だから……」

 

「逃がしません!姉様に釣り合う方は、イルマタル様しかおられません!」

 いつのまにか、マトリョーナさんが後ろにいました。

 

 心静かに日々を送りたいのに……どうしてこうなるのか……

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