【01話の2】 エーリュシオンでTSを

 

「女性になって生きるということで、色々と力と能力を、授けて頂けるのですよね?」

「厄介事に巻き込まれない、身の危険から守られる、などと思ってよいのでしょうか?」

 

「そう思ってよい、なんなら不死もつけても良い、ただこの場合、当方の希望を聞いてもらうことになるが」

「不死といいますが、私が望めば死ねるのですか?」

 

「それでもいいが、当方の希望を聞いてくれるのか?」

「それは神様がお望みなのですから、私に嫌はありません」

「そうか」

 

 暫く聖天様は考えておられましたが、おもむろに、

「当方の希望は、ある世界に転移してほしい、その世界は、当方に取ってはどうでもいい世界なのだ、ただ貴方が転移してくれるなら、少しは状況が改善すると考えられる」

 

 この世界は極めて荒ぶる世界、何かと争いが絶えず、神と呼ばれる存在も、実は闘争の果てに生まれたらしい。

 この神を聖天様は邪神と呼ばれていた。

 

「破邪という能力を授けるので、のんびりと世界を旅して呉れれば良い、邪神などはこの破邪の力にあらがえない、貴方が世界に存在するだけで邪神は押さえられ、穢された土壌も改善される」

 

「つまり私が長くその世界に存在すれば、その世界は改善される、ということですか?」

「正確に言えば、貴方の『静かに心豊かに』という気持ちが、世界に広がり癒やしていく事になる」

 

「私に女神になれというのですか?」

「女神というならば女神となろうが、貴方は望みどおり、『静かに心豊かに』に日々を過ごせばいいわけだ、難しく考えることはないと思うが?」

 

「そうですね、私の望みですから有り難くお受けします、その上で転移する世界について、今少し、詳しくお教え願えませんか?」

「基本的な現地の知識は開示する、その他の授ける力と能力の説明もしよう、名をはばかる方からの神力も授かるのだ、ありがたくお受けせよ」

 

 こうして私は、授かる力と基本的な現地の知識の説明を、受ける事となった。

 

「行ってもらう世界はエーリュシオンと呼ばれている、ほぼ地球と同じで1天文単位にあり、惑星の大きさは地球とほぼ同じ、中心の恒星も太陽とほぼ同じ、月さえもほぼ同じだ」

 

 エーリュシオンって、ギリシャ神話にある死後の楽園の名前ですね……

 フランス語でシャンゼリゼ……


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