【02話の1】 レクチャーを受けました。

 

 聖天様の説明によると、

 エーリュシオンは天文学的には地球とほぼ同じ、人種や文化などもかなり地球に似ている。

 地球の歴史を知っていれば、かなり理解できるらしい。


 文明は中世レベル、分水嶺である大山脈を境に、東西2つの文明圏が存在、どちらも農奴制が敷かれており、西方はどうもドミートリー・ドンスコイ即位あたりの、モスクワ大公国の社会構成に近いようである。

 

 農奴の売買が盛んとの事……こんなところへ女性としていくのはね……リスク高そうですね。

 こんな国がいくつもあるそうで、物騒極まりない、荒ぶる世界というのが理解できます。

 私はこのエーリュシオンの、西のほうに転移するそうです。

 

 もう一つの東ですが、漢に似た中華風の文明圏で、こちらのほうは古代レベルになるのでしょうね。

 農奴制というより、正真正銘の奴隷制、もっとヤバそうです。

 

 さらに二つの巨大文明圏の間にも、いくつかの小さな文化圏があるようです。

 

 不思議なことに人種的にはコーカソイドばかり、東の中華風文明圏の人種も、トルコあたりの人に似ているようですね。

 西は金髪碧眼が主流、東は黒髪黒目が主流、とはいっても、西にも黒髪黒目がいれば、東にも金髪碧眼がいる、このあたりは違和感満載です。

 

 とにかくですね、お約束通り、魔法が存在すると聞きました。

 

 聖天様の表現を借りればショボい魔法、最大の攻撃魔法でもオスマン帝国のウルバン砲程度、つまりでっかい石をとばして厚い城壁を破壊する。

 魔法があるので、火薬が存在しないのですね、しかも大きな魔法には、長々とした詠唱が必要になるらしい。


 魔法が存在するゆえか、進歩がない世界のようです。


 ただかなりの生活魔法が存在し、例えば、ごみや排水は問題ないようです。

 ごみは焼却、排水は浄化、感心したのは金属などの廃棄物は分別し、インゴットなどにまとめる魔法が存在することです。

 

 でも、おかしいですね?

 荒ぶる世界、闘争がメインの世界である以上、何らかの進歩があるはずなのですけど……


 信じられないことに、エルフ族とドワーフ族もいるのですよ。

 やはり異世界なのでしょうね。

 

 私についてですが、少女で18歳ぐらい、エルフ族の病弱な美しさとは一線を画す健康的な美しさ、間違いなしに、女神の容姿になるそうです。

 これ問題を誘発しませんか?

 

「聖天様、これではとても静かな生活は望めないのでは?」

 

「考え方ではないか?美女であれば得することも多い、天秤にかければ、美女のほうが良いではないか?」

「それに不可侵の加護がかかる、悪しきものは滅せられる」

 

 ……確かにそうですが……

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