第113話 召喚術
デルマードにドワーフ、そして鳥の化け物か……ファンタジー感満載だ。
多少の感動を覚えるが、今は戦闘に集中しないと。
で、俺の相手はデルマードなんだが、正直勝てる気がしない。
「行くぞ小僧!」
「こ、来いっ!」
がむしゃらに攻撃を仕掛けても、デルマードの大剣に全て阻まれる。
何か手を考えないと体力的にジリ貧だ……どうする? 何か、何か……。
「どらぉ!」
「甘いですわ!」
「この娘! エルフみたいにちょこまかと!」
レティシアはまだドワーフと交戦中……今、エルフって言った? いろんな意味で気になる。
「うららっ!」
「キ、キィー!」
ラーズも戦闘中、やはりヴァージュに手伝って貰おう。
出し惜しみして負けたく無いし。
「ヴァージュ!」
「あいあいー!」
「な、なに!?」
デルマードは突然現れたヴァージュに驚き、俺はその隙をついて一撃を与える事に成功した。
「ぐぉ……何処から……? 残りの剣士一人はお前か!」
「ふっふーん!」
何故かドヤ顔のヴァージュ、対してデルマードは少し焦っている様な顔だ。
「お前……なかなか速いな」
「まーねー!」
ヴァージュは短剣をクルクルと回しながら御手玉の様に放っては受け取り、ニヤニヤしながらデルマードを見ている。
ヴァージュと俺なら地力で考えるとヴァージュの方が速い。
縮地術は一瞬の直線距離を縮めるから、移動は速くなるが攻撃スピード自体は変わらない。
「こいつは厄介だな、くっくっく……」
何で笑ってるんだ? 何か対応策が?
「増員だな! 出でよ、ラスティ!」
な! また召喚か!?
鳥の時と同様、今度は地面から槍を持つ戦士が現れた。
「お呼びかい、旦那?」
これはマズい、あと何体召喚出来るんだ?
「蓮斗、奴の指輪を見るのじゃ」
「え、指輪が三個? 全部光ってる……」
「つまり、これで召喚は最後じゃろう」
「アレが召喚用の指輪って事?」
「恐らくじゃ。ここからは提案じゃが──」
クリスの意見を聞き入れ、俺とヴァージュはデルマードに対峙する。
「んん? ラスティ、無視されてるぞ?」
「旦那、コイツら殺して良いんだよな?」
「おう! 任せる!」
ラスティは背後から俺達に襲い掛かる。
「ヴァージュ、俺とデルマードを!」
「あいー!」
「はぁ? 俺を無視かよ! 槍で串刺しにしてやる!」
俺とヴァージュがデルマードを攻撃。
俺の剣が大剣に接触すると、俺の剣は輝きだして周りの目を
「ぐっ、貴様何を!?」
デルマードの目を眩ませる事には成功。
「後ろからは丸見えだぜ! 串刺しだっ!」
そう、俺の前に光源が有る訳だから、俺の体が光を遮って槍の奴から丸見えになる。
「死ねやっ!」
「い・や・じゃ!」
ガシンと言う金属音と共に槍は弾かれた。
「だ、誰だ!?」
「答える義務など無いのじゃ。大人しく消えるのじゃ!」
「ぐぁぁぁっ!」
クリスはアッと言う間に槍の戦士を斬り倒した様だ。
「な、ラスティ!?」
何とか作戦成功。俺達がデルマードに突っ込む瞬間、俺は以前購入した光属性の魔剣に持ち替え、クリスは人化して後方の槍の戦士の相手をするって事だったけど、まさか倒してしまうとは。
「よ、幼女が増えてるだと!?」
「誰が幼女じゃ!」
あ、ゴスロリだからね。
「さて、三対一じゃな? 観念せぃ!」
「このガキめ!」
「三対一じゃないですわ!」
血だらけになったレティシアが叫ぶ。
「レ、レティシア、大丈夫か!」
レティシアの足元には同じく血だらけになったドワーフが倒れていた。
「
「我輩も居るぞ!」
リアーナ……もとい、ラーズも魔鳥を倒した様だ。
「五対一じゃな?」
「ぐっ……」
デルマードの指輪からは光が失われている、もう召喚は使えないって事だよな?
「さ、覚悟しろ!」
流石に多勢に無勢だろ?
「くっくっく……」
「何が可笑しい!?」
「絶対的に有利な立場だと思っているだろ?」
当たり前の事を聞いてくる、何か秘策でも有るのか?
「諦めろ! どう考えたってお前に勝ち目は無い!」
「そーだそーだ!」
「
限界突破!? デルマードが叫ぶと同時に、ラーズが後方へ吹き飛ばされる。
「ラーズ!?」
「くっ……抜かったわ……
「痛ーいっ! ウチの体に無理させないでよね……」
ラーズは戦闘不能か。それにしても凄まじい力だ。
「蓮斗、小娘共、気を付けるのじゃ!」
「あいー!」
「
レティシアが指輪を掲げる。
「聖人の指輪!」
魔具店で購入した、五分間だけ攻撃力と速度が上がる指輪か……確か性格が変わるんだっけ?
「ぐっ……行きますわよ!」
変わって……無い? いつもと同じ? それより攻撃だ!
俺達は一斉にデルマードへ攻撃を仕掛けた。
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