第114話 総力戦

「とぉーりゃー!」 


 ヴァージュの連続攻撃でデルマードに防御させて、クリス、レティシアと共に本体へ攻撃!


「ふんっ!」


 デルマードは凄まじい速度でヴァージュ、クリス、俺の攻撃を防ぐ。


「喰らいなさい!」


 レティシアの攻撃がクリーンヒット、デルマードは膝から崩れ落ちる。


「ぐぅ……ス、スキル、狂戦士化バーサーク! うが……がぁ!」


 デルマードは再び立ち上がり、大剣を片手で振り回す。


「嘘だろ……」

「今じゃ! 狂戦士は防御などせん! 一気に叩くのじゃ!」


 再度、全員攻撃に移る。


「剣技、脚部破壊レッグブレイク!」


 ヴァージュが相手の足を執拗に攻撃するが、デルマードは止まらない。

 狂戦士化したデルマードは更にパワーが上がっており、俺とヴァージュは吹き飛ばされて身動きが取れなくなってしまった。


「ぐわっ! ごほっごほ……」

「痛たたた……」


 クリスも更に攻撃を続けるが、俺達と同じく吹っ飛ばされ地面に叩きつけられた。


「ぐっ……ぬぅ……何と言う馬鹿力じゃ」


 レティシア、もう制限の五分が経つんじゃ?


「これで終わりです! きゃあ!」


 一撃与える事に成功したが、レティシアも吹っ飛ばされてしまった。

 全員、倒れ込んでいる最悪の状態だが、デルマードは剣を大きく振りかぶる。

 マズい……。

 そ、そうだ、相手の残りHPは? 


〔看破に成功しました〕


〔名前:デルマード 種族:人〕

〔称号:転生せし者〕

〔レベル:121〕

〔H P:13〕

〔その他:閲覧権限がありません〕


 え!? たったの13!?


「くそっ……あと少しなのに!」


 振りかぶった大剣を俺達の方に向かって振り下ろす瞬間、間抜けな声が聞こえた。


「とぉー!」


 バコン! 鈍い音が聞こえると、デルマードはその場に倒れてしまった。


「うっしゃー! ウチらの勝利ー!」

「え……リアーナ? 何でそんなに元気なの?」

「ポーション飲んだからだよ?」

「あ……」


 魔法とか使えなかったけど、スキルもポーションも使えたって訳ね。


「蓮斗くんも早くコレ飲んで!」

「あ、ありがと……って、二本は止め──」


 リアーナに無理矢理ポーションを飲まされる。

 二度もポーションで溺死しかける人は俺ぐらいのものだろう。


「この人は死んだのかな?」

「HPが0だしね」

「見事な撲殺じゃったな」

「クリス、言い方……」

「なんじゃ?」

「ウチは気にして無いから大丈夫だよ」

「そっか……取り敢えず助かったね」

「あたい、眠いから潜るねー」

「あぁ、お疲れ様ヴァージュ。お休み」

「お休みなさぁい……」


 ところでレティシアって……。


「レティシア大丈夫?」

「大丈夫ですわ……あ、あまり近付かないでくださいまし!」

「へ?」

「これは……面白いのう」


 いや、これ……性格とかじゃなくて、根本的に何かが変わった?


「き、嫌われたのか……俺?」

「蓮斗くん、ちゃんとレティシアちゃんの顔を見なよ」


 ん? あれ? 顔真っ赤だ。


「うぶな娘になったのぅ……」

「こっちのレティシアちゃんの方が良いんじゃない?」


 確かに、いつもと違って清楚と言うか何と言うか。


「レティシア?」

「ひゃ、ひゃい!?」


 ひゃいって……何に焦ってるんだ?


「あははっ! レティシアちゃん可愛いー」

「面白いのう!」

「何を仰いますの……」

「蓮斗くんに呼ばれただけで……ぷぷぷっ……」


 え? 俺のせい?


「そ、そんな事は……ぐっ……」


 レティシアは急に頭を抱えている、どうかしたのだろうか?


「大丈夫?」

「……はっ! 蓮斗さんがわたくしの心配を…………駄目かも知れません、今宵は一緒に床へ就きま──」


 ガンっ! 鈍い音が鳴りその場にしゃがみ込んでしまった。


「何をするんですの!」

「正義の鉄拳じゃ! 発情小娘!」

「レティシアちゃん、元に戻っちゃったねー」


 果たして良かったのか悪かったのか。


「剣様!」

「あ、サーシャ、何ともない?」

「大丈夫です! でも怖くて馬車から出れませんでしたよ」

「怖い思いをさせてごめんな」

「いえ! 覚悟の上ですから!」


 出来た子だなぁ。


「サーシャちゃん、良い子だわー! ウチの妹にならない?」

「え……杖様、遠慮しておきます」

「えー……」

「あ、嫌だとかじゃなくて、自分はこう見えても二十半ばですので」

「うそー! ウチのお姉ちゃん?」

「いや、そちらも遠慮します」

「やっぱり嫌なんじゃん!」

「そうは申しておりませんよ?」

「ぶーぶー!」


 ブーイングかよ……それにしても、サーシャって意外といってるんだな。

 見た目は同じか少し下だと思ってた。


「さ、皆様、出発しましょう!」


 サーシャの掛け声で馬車に乗り込み再出発となった。

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