第66話 王政国家ヤーイ
「これ……本当なら凄いな!」
一回だけ時間を戻す指輪……時戻しの指輪。
「詳しい説明は……」
「これですわ!」
レティシアが説明書的な物を見付け、一緒に確認すると……一つの物体を五分前に戻す、と記載されていた。
「えっと……どう言う意味だ?」
「そのままでしょうか……」
使いどこが分からん……が、買っておくか。
げっ、白金貨十枚……高い! でも俺の直感が買えと言ってる……と思う。
「蓮斗様ー! これ欲しい!」
「どれどれ……ん?」
ペアリング?
「買ってー!」
「却下です……」
「えー……」
何でペアリングなんだよ……リングの装備者同士で敏捷力を振り分けれる、双走力の指輪?
俺のスピードをヴァージュに渡したり、その逆も出来るって事か……これ良いんじゃない!?
「やっぱり買おう!」
「やったー! 大好き蓮斗様!」
何か指輪が増えてきたな、見た目がチャラいわ。
「レーちゃん見てー! 婚約指輪ー!」
「な……蓮斗さん……
ヴァージュ、余計な事を……。
何か適当な物を買って渡すしかない!
ん、これはペンダントか? 効能は……指定した者の生存を確認出来る……か。
これで良いか。
「レティシア、これを」
「灯火の首飾り……蓮斗さん、有り難う御座います!」
意外と喜んでくれたか?
「蓮斗さんに設定……これで常に蓮斗さんの温まりを……」
何か違うと思うが……いいや。
「二人とも、もう良いかな?」
「もうちょっとー!」
「ごめんなさい、蓮斗さん……」
レティシアはヴァージュの保護者か?
俺は先に店を出て待つ事に。
「クリスは見なくて良かったの?」
「切りが無いしのう……」
「確かにね」
それにしても……全然、戻って来ない。
「レーちゃん、離してー」
「いいから来なさい! 蓮斗さんも待ってますわ!」
ヴァージュがレティシアに引っ張られて店から出てきた。まるで、駄々っ子と母親だ。
「ギルド会館に行くよ」
「はい! 行きましょう!」
ヴァージュは頬っぺたを「ぷぅ」と膨らませながら影の中に入った。
ギルド会館に着き、カウンターに向かう。
今日は空いてるな……。
「マスター代行は居るかな?」
「お約束はされてましたか?」
「いや……転移者の蓮斗が来た、と伝えて貰えるかな?」
「転移者様!? 分かりました、直ぐに確認致します!」
便利な言葉だな、転移者って。
「お待たせしました、奧へどうぞ」
奧へ行くと……居たよイケメン。
「こんにちは、丁度良かった」
「どうしたんですか?」
「実はあの後、直ぐに会議をしたんだけど……現状、ここのギルドの力だけでは銃の転移者には敵わないって事になってね」
やっぱ、そうか……。
「王都との通信を取って、救援を依頼したんですよ」
「す、すみません。王都って……」
「あ、そうですよね。転移して来たから、分からないですよね」
全然分からないので、少しレクチャーして貰った。
そもそも、この国はヤーイ国と言う名前の王政国家との事。
王の名は、ガリウス=ヘルドシップ=メル=ヤーイ……長い名前だ。
王都の名前はビンテンと言うらしい。
ここの中央政府のギルド省に、救援を依頼したとの事だ。
連絡する為の通信には、魔力通信ってのが有るらしい……SNSみたいな感じか?
「それで王都からは何と?」
「明日、高レベルメンバーをシシーとニカに派遣してくれるそうです」
「高レベルって……」
「最低100以上の猛者でしょうね」
「この世界の人にも、そんな高レベルの人が?」
「転生者が多いと聞いてますが、そうでない人でも稀に到達する方が居るとか」
そう言う人は、とんでもない努力家なんだろうか。それとも才能だろうか。
「王都って、そんな近いんですか?」
「通常、この町から二十日間くらいかな?」
「そんなに遠いの!? じゃあ、高レベルの人達はどうやって?」
「王都には転移装置が有るんですよ。一方通行ですけどね」
なるほど、それで早く来れるのか。
「基本的にコチラから攻める事は無いと思いますので、君達はこの町に待機しなくても大丈夫ですよ」
て事は、レベル上げに励めるって事か。
「あ、でも……ニカの閉鎖は解除されないと思うから、何処か行くなら別の場所が良いですよ」
「分かりました。色々とありがとうございました」
「とんでもない、君達の情報が無ければ大変な事になっていた……心からお礼を言わせて貰うよ」
マスター代行に会釈し、ギルド会館を後にする。
さてと、どうしよっかな……皆に聞くか。
「これからどうしようか?」
「レベル上げついでに、王都に行ってはどうかの?」
「クリス、王都に行きたいの?」
「ま、まぁ……そうじゃのう」
何か引っ掛かるな……。
「
「あたいもー!」
「じゃあ、準備して王都に行ってみるか」
俺達は昼食を済ませ、準備を終え次第、王都へ向かう事とした。
王都か……都会なんだろうな。
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