第65話 対策法

 翌朝……今回はスキーリエックスを調達していたお陰で、二日酔いの人が居ない。


「おはよ!」

「おはようじゃ」

「お早う御座います」

「おっはよー!」


 朝の挨拶を済ませ、各々出掛ける支度だ。

 俺はログインボーナスの確認っと。


〔日課特典:釣具セット〕

〔釣具セットを獲得しました〕


 ……ま、有って困らないけどね。

 レティシアは山育ちだから、釣りをした事が無さそうだな。

 それとも、川とかでした事が有るのかな?


「あれ? レティシアは?」

「レーちゃんは顔を洗ってるよ!」

「そっか」


 顔か……そういや、レティシアとかヴァージュって化粧とかしないよな。


「ヴァージュって化粧する事有るの?」

「あたいは無いなー……レーちゃんは?」


 戻ってきたレティシアに質問し出す。


「化粧は貴族がするものですわ」

「そうなんだ。三人ともすっぴんとは思えない程、綺麗と言うか可愛いと言うか……」

「すっぴんとは何でしょうか?」

「何じゃろ?」

「あたいも分からないー」


 あ、そうか……。


「前の世界では、化粧をしていない顔の事を言うんだ」

「と、言う事は……蓮斗さんったら……」

「あたい達、誉められた?」

「そうなるのう」


 何か皆ご機嫌だ。良く分からんが言葉のチョイスが正解だったらしい。

 俺も髭を剃ろう。いつも手探りだから鏡が欲しいな。


「ギルドの方針は後から出ると思うけど、それまでどうするか考えようか?」

「そうじゃの」

「賛成ですわ」

「あたいもー!」


 何かノリが良いな。

 先ず、現状の確認。

 銃の転移者は強敵だ。スキルの対抗手段を考えないといけない。


「銃ってだけでもキツいのに、二丁も有るし……スキルも強いし……」

「気になっておったのじゃが、そもそも銃とは何じゃ?」

わたくしもですわ。蓮斗さんは直ぐに理解されていた様ですが……」

「んと……この世界に火薬って有る?」

「爆薬なら有るよー!」


 ヴァージュは、えっへんと鼻息を荒くする。


「銃ってのは、小型の爆薬を爆発させて、鉛弾を発射させる装置みたいな……」

「でも魔法でしたわよね」

「そうなんだよ……普通の銃は、爆発音と共に鉛弾を発射させて目標に当てるんだけど、鉛弾じゃなくて魔法だったんだよね」

「何か問題が有るのじゃろうか?」

「鉛弾の場合は弾が切れちゃうから、装填しなきゃいけないんだけど……魔法の場合は魔力の装填って無いよね……だから、隙の無い感じになるんじゃ?」

「そうですわね……」


 まぁ、鉛弾より魔法の方が打ち消す可能性が有るから良いか。


「スキルの対抗策だけど……何か有るかな?」

「可能性を含めてじゃが、耐える、脱出する、打ち破る、封じる、の何れかじゃの」

「そうですわね……」


 うん、クリスの言う通りだ。他には思い付かないな。この項目で一つずつ確認した。


 先ずはスキルに耐える方法だが、現状では難しい……と言うより無理。新たなスキル……例えば耐寒とか有れば良いが、直ぐには身に付かないだろうし、三人とも同時に覚えるのは現実的じゃない。

 アイテムでも良いんだけど、そんな都合の良い物が有るんだろうか? これは後で魔具店で探そう。

 現状では相手スキルの持続時間が分からないから、ポーションを多めに買うしかないな。

 次は脱出。これは転移するしか無いなので却下……そこで打ち破るって事になるけど、これは相応のスキルか能力を上げるしかない。

 つまり、レベル上げしかない訳だ。

 最後は封じる。クリスの真空魔法が可能性的には……いや、効かない可能性の方が高いか。


「結局、レベル上げじゃの」

「そうだね……」

「スキルと言えば、アンデッドも銃の能力でしたわね?」

無間銃むげんじゅうの能力か」

「そうじゃの。じゃが、低レベルのアンデッドしか生成出来なさそうじゃ」


 どの道、他の能力が分からないから無視するしかないな。


「蓮斗さん、提案なのですが……」

「なに?」


 今はどんな事でも貴重な意見だ。


「封魔シリーズを全部装備してみては?」


 盾は装備出来ないけど、対魔法の効果はかなり期待出来るな。


「やってみよう!」


 装備してみたが……。


「これは……動きが悪過ぎる」

「これは駄目じゃの」

「駄目だねー!」

「駄目ですわ……」


 み、皆、酷くね……?

 確かに、俺の強味であるスピードが完全に無くなる。

 封魔シリーズは却下となった。


「つまり……」

「レベルを上げるのじゃ」

「ですわね」

「だねー!」


 だー! やっぱりそうなるか……。

 

「魔具店に行ってから、ギルド会館に行ってみよう」

「仕事が有るかも知れませんわね」


 で、魔具店にやって来たのだが……ここ、変なアイテムばっかりだからなぁ、二人とも脱線しなきゃ良いけど。


「レーちゃん! 見て見て!」

「こ、これは凄いですわ!」


 何だろう……俺は二人の間から覗き込む。

 こ、これは……パ、パ、パ……。


「蓮斗様、やらしー!」

わたくしは構いませんわ! どうせ見せますし……」

「またこの発情小娘が……」


 い、いや……何で魔具店に下着が!? しかも際どい……レティシアが見せる? ぶっ……。


「蓮斗、鼻血……」


 皆、目的を覚えてるのか?


「こ、これは……」

「耐寒用ポーションじゃな」

「無いよりマシか」

「マシじゃのう」


 これは購入だな。

 消耗品じゃなくて、装備品は無いかな?


「ヴァージュ! これ、凄いですわ!」

「本当だー!」


 今度は一体なんだ……?

 ん? こ、これは……もしかして大変な物を見付けてしまったかも知れない。


 


 魔具店、恐るべし……。

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