第31話 呪いの力

 さて食事も済み、後は寝るだけ……。


「なぁ……皆さん?」

「何ですの?」

「何じゃ?」


 クリスの人化は、まだ解けてない……オマケに二人とも酔っ払ってる……。


「二人ともさ……実は…………宿を決めて無い事に、気付きませんかね?」

「そうですわね! あははっ……」

「そうじゃの! くくっ……」


 駄目だ、この人達……早く何とかしなければ。


 歩いて探しまくるが、何処も満室ばかりだ。

 最悪、街の外で野営か……はぁ……。

 また宿屋発見! ダメ元で聞いてみよ……。


「すみませーん……」

「あいよー」


 建物に入ると、気立てが良さそうな女将っぽい人が出てきた。いや、女将だな……絶対。


「部屋、空いてませんか?」

「空いてるには、空いてるが……何人だい?」


 ん……ここは三人か? 二人と一振り? いや、見た目通り三人か。


「三人かい。一部屋しかないけど良いかい?」

「はい! 助かります!」

「あとの二人は……へぇ……兄ちゃんも隅に置けないね!」


 あれ? 絶対、勘違いされてる……。


「他の客も居るから、静かに頼むよー」


 うわー……絶対に勘違い……。

 いつの間にか、左腕にはレティシア、右腕にはクリスが……。

 二人に腕を組まれた男……勘違いされるわな。


「明日の朝食は要るかい?」

「早朝に出発する予定なんで、要らないです」

「それじゃあ、素泊まり一部屋で銅貨三枚で良いよ!」


 ん? 銅貨三枚……約三千円? 安いな……。

 俺は女将にお金を渡し、部屋のある二階へ向かう。


「兄ちゃん! 真下は、あたしの部屋だから、あんまり激しくしないでおくれよっ! あっはっはっ!」


 強烈な女将だったな……。


「蓮斗さん、私は別に……」

「この発情小娘が!」


 俺は怒鳴るクリスの口を抑え込み、急いで部屋に入った。

 他のお客さんに怒られちゃうよ……。

 いつの間にか二人とも……寝てるし……。

 俺も寝よう……。


 

 朝起きる……レティシアは、まだ寝てるな。

 俺は例によって、寝不足だ……だって、ベッドに女の子が二人も寝てるんだよ? しかも、二人とも女子レベルが高いんだよ?

 ……お、落ち着こう……。


「おはよ、クリス」

「おはようじゃ」


 ログインボーナスの確認からだな。


〔日課特典:回復術の古文書〕

〔回復術の古文書を獲得しました〕


 これ……来たんじゃない!?

 直ぐに使用だ…………読めない……。

 読む為のスキルが必要なのか?


「何じゃ、その本?」

「回復術が使える様になりそうな本……でも読めなくて。クリスは読める?」

「もし、儂が読めてしまうと、その能力は儂の物となってしまうが?」

「あ、そうか……」


 取り敢えず、放って置く事になった。

 あ、鑑定屋に行くんだった。その前に、荷物を整理しておこう。


〔追憶の灰〕

〔手袋(?)〕

〔黒い石(?)〕


 あ、マントはレティシアに渡してしまったから、これくらいかな?

 先ずは、追憶の灰か……。


〔鑑定に成功しました〕

〔追憶の灰:使用者の前世のスキルを一つ獲得する〕


 へぇ……結構、賭けじゃない? 前世で何も無かったら…………次に行こう。


〔鑑定に成功しました〕

〔防刃の手袋を獲得しました〕

〔対刃の耐久性上昇〕


 これは、普通に良いんじゃないか?

 最後、黒い石……。


〔鑑定に成功しました〕

〔呪われた石を獲得しました〕

〔呪われた石の効果が発動しました〕


 え! ちょっとまった! 俺使ってな……。


〔呪われた石の効果により呪われました〕

〔ステータス異常〈呪縛・LV10〉〕


「ひぃ!」

「どうしたのじゃ!?」

「俺……呪われちゃった……」

「何じゃと!?」


 どうしよ……どうする?……どうすれば……?

 あー! もうパニックだ!

 落ち着け、俺…………そ、そうだ! ステータス異常の鑑定!


〔鑑定に成功しました〕

〔ステータス半減〕


「ぐはっ……」

「今度は何事じゃ!?」

「ステータスが半減って……」

「きついの……」


 これってマズくない!? 調査の前だし……。


「儂には異常が無い様じゃ」

「じゃあ、俺だけだね……良かった」


 けど、憑依を使った場合は? クリスは呪われて無いから……大丈夫かな?


「あ、お早う御座います……」

「おはよ……レティシア」

「どうしたのですか?」


 俺は呪われた事を説明……レティシアは気を失った……。


「しっかりするのじゃ小娘!」

「はっ……蓮斗さん! 大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫だよ」


 レティシアの方が心配だ……。


「そうですわ、蓮斗さ……きゃ!」


 レティシアが俺に触ろうとした瞬間、レティシアは何かに弾かれた。


「何だ!?」


 何度やっても、弾かれる……。


「れ、蓮斗さんに触れない……うっうっ……」


 一体、何が起きたのか……。


「呪いじゃな」

「やっぱりかぁ……」

「蓮斗、儂は持てるか?」


 俺は祈りながら、クリスを掴んだ……お、普通に持てるぞ!


「取り敢えずは、問題無さそうじゃな」

「そうみたいだね……」

「私だけ……私だけ…………蓮斗さんに……」


 レティシアが、壊れかけてる!

 俺はレティシアを慰めながら、調査に出発した。




 呪い……怖っ……。

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