第59話 トーナメント開催

体育祭最大のイベント、生徒会トーナメントが始まる。

その盛り上がり様は、今までにあった競技とは完全に別物であった。

続々と入場して来る生徒会の面々に、会場の熱気はさらに高まる。

闘技場の中心に並べられ、出場者の名が呼ばれる。


次期生徒会候補・アーテル

次期生徒会候補・イフ

次期生徒会候補・トーカ

生徒会第八位・アストロ

生徒会第七位・ガイスト

生徒会第六位・ルクス

生徒会第五位・イージス

生徒会第三位・リン

生徒会第二位・アルト

生徒会第一位・ギフト


/////////////トーナメントの開始を此処に宣言する


頭の中に直接言葉を刻み付けられる。

言葉にすら出さないその言霊が、脳裏を汚す。

意図的に、狙って、その思考を乱してくる。

観客にお辞儀をして、選手たちは一度下がる。

個別に用意された控室の中で戦いに備え集中するために。


カラミティはいなかった。


椅子に座り手を組み思考を巡らせる。


当然と言えば当然だ。

殺した、もしくはそれに近い状態で王様が回収しているはずなのだから。

そしてトーカは、俺と同じローブを羽織っていた。

フードを深々と被り、眼には赤い包帯のようなものをしていた。

透視までは使わなかったが、それでも簡単にその内側が見えるような代物じゃない。

となればあれは神眼対策。

俺だけじゃない、アストロもまた神眼を持つ者だ。

人が増えればその分対策も増える。

何が出てくるかはわからないが、問題視する必要はない。

いつも通り、ただ対応するだけだ。

あぁ、楽しいな。


アーテルは口の端を上げ笑った。


魔力を見ればすぐにわかった。

全員が、この日の為に仕上げてきている。

先輩達もそうだ、以前あった時とはまるで違う。

魔力に乱れ無し、その精神が映し出されている。

そしてギフト。

あれが第一位か。

とても静かだった、魔力に統率が取れているというものではなく、もはや無に等しい。

異様なほどの静けさからグリモワールの方も多少読める。

あの本には大方魔力も詰まっているのだろう。

その魔力こそ絶対的な感知能力となり、外敵への反応を可能とする。

攻撃、防御、索敵、全てをこなす万能たる魔導書。

あぁ、素晴らしい、素晴らしいよ。


笑うアーテルの周囲の魔力がずれていく。

星の、世界の流れに逆らう様に、止まっている。

それは水の様に、光を不可思議に屈折させる。


「完璧だ」

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