第142話 世界樹の幼木と神刀聡風雷神

 翌日からも休息日を除き、俺は世界樹に魔力を与え、話しかけていた。


 リリアがいうには、世界樹は幼木の間は魔力を生成する事が出来ない。

 その為に誰かが毎日魔力を与えなくてはならないという。


 別に俺じゃなくてもメイドや執事の魔力でも良いけど、やはり主人の魔力を好み、葉の色等が明らかに違うのだそうだ。


 驚く成長をしていて、2日で早くも俺の背丈を越えてしまった。


 ダンジョンが39階層を終え、明日はボス戦となった時には、幹は直径20cmを越えていて、樹高は3mを越えているという既に立派な樹木だ。最早幼木とは言えない。


 実は皆も少しづつ魔力を与えていて、俺の仲間に愛されて、すくすくと成長していた。いや、異様に成長していた。


 俺達以外はこの木が世界樹とは知らないが、もう一週間もすると騒ぎになるだろうなと感じていた。

 成樹になると直径が10-20mで、樹高も50-100mになり、明らかにばれる。国としては喜ばしいようだが、さてさてどこまで成長するか謎だ。


 そして40階層を攻略する日の前の夜、またもや変な夢を見た。真っ白な広い神聖な空間に俺はいた。


 そこには男の子か女の子か良く分からないが、幼稚園児?位の可愛らしい子供がいた。


 子供「初めましてお父様。世界樹の精です。やっと夢枕に立てるようになりました。明日のダンジョンは気をつけて下さい。目の前に障壁の類いを張ってください。敵方が放つ息吹が、お父様のホールで防ぐより早く届いてしまいます。それと、今はこれくらいしか出来ませんが、お父様の刀の柄を受け取ってください。必ずや助力になりましょう。そろそろ限界です。私を育ててくれてありがとうございます!御武運を!」


 そうして消えていった。

 起きた時に周りに特に柄はなかったので夢かと思ったが、念の為、収納に入れている一番新しい物を取り出すと、取り出したのは夢で渡された神々しい柄だった。早速愛刀の柄を外し、取り付けると刀が語り掛けてきた。


 刀「な、なんと、世界樹から、それも自らの意思で作り出された柄ではありませぬか!我が力数倍にもなりましょう。心が洗われます。ああ素晴らしい・・・」


 そうしてアイテム名が変わっていて、神刀聡風雷神だった。魔力を込めると、ウインドカッターのような鎌鼬か、雷を放てるらしい。


 そうしていると、屋敷の仲間が異変を感じて駆けつけて、神々しい神刀聡風雷神を見て度肝を抜かれていたのであった。

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