第137話 休日

 20階層突破した翌日は、ダンジョン探索を休みにしていた。


 但し、日課になるサラマンダー突撃は必要なので、律子と二人して出掛けた。

 取り敢えず行けるところまで行けと指示し、ダンジョンを掃除し、外に出なくした。


 返りにちょっとだけお茶を飲んでいった。

 些細な事だが、ちょっとしたデートだと喜ぶのだ。


 アクセサリー店に立ち寄り、ブレスレットを買ってあげた。宝石が填められていて軽量なのを選んだ。

 魔力を込めると脱着できる魔道具で、泣いて喜んでくれた。気配を希薄にする効果があるのだが、アクセサリーにもなり、似合いそうだったからだ。


 聡太「大した物を買えなくてごめんな。こちらの世界じゃブレスレットかネックレスが婚姻の贈り物だと言うんだ。指輪は魔道具を装着するのが当たり前で、婚姻の品にしないんだそうだよ。これを貰って欲しいんだ」


 ただただ頷くたけだった。

 結局午前は律子とデートで、昼から沙友理とデートで、タイプの違うのブレスレットを選んでいた。

 美菜へはブレスレット、朋美の場合近接戦闘要員なのでネックレスを買っていく。


 美菜と朋美は次の休日がデートとなった。

 既にリリアとエミリーにはネックレスを買って結婚した前後に渡している。


 物の良し悪しが分からないからなんの変哲のないオーソドックスなのを選んだが、俺が選んだというのが大事で、安物でも満足するというのだ。


 その後ぶらぶらと街を散策する為に歩いていると、下町に、それもあまり治安の良くないエリアに迷い混んでしまった。


 そうすると、数人のごろつきに囲まれた。テンプレである。ナイフをちらつかせていたりする。


 ごろつき「おうおう、にいちゃんよー通行税払いな!」


 俺は沙友理の手を引くのがもどかしく、お姫様だっこで逃げ出すという荒業に出た。沙友理が短くキャッ!と悲鳴なのか、喜んでいるのか、短く唸った。


 ごろつき「待てやこら!逃げるからには腕の2、3本は覚悟しろや!ねえちゃんは置いてけや」


 とい必死に追いかけるが、お姫様だっこで逃げる者に追い付けない不思議な状況だ。5分位走ったが距離は縮まらない。レベルの恩恵で力もりもりで女を抱いても平気で走れるのだ。


 そろせろ面倒くさくなってきたのでホールを使い、足元に10cm位の穴を開ける。倒れた先を想定し、そこに盛り上がる形で展開した。


 いきなり段差が出来て皆転がり頭や顔面を強打し、血を流す者もいた。

 俺は笑いながら建物の影から転移して逃げた。


 沙友理は楽しかったが、恥ずかしかったらしい。


 まあそんな感じのちょっとしたトラブルがあったが、中々楽しいデートだった。

 倒しても良かったのだが、気まぐれで逃げてみた。


 屋敷に戻り、美菜と朋美に婚姻の品を渡すと抱きつかれ泣かれた。


 まさかこんな日が来るとは思わなかったと。


 俺は二人にずっと守ると改めて誓ったりした。


 そうして、明日からの厳しい?ダンジョン探索に向けて鋭気を養ったのであった。

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