第135話 ボス戦だけどやっぱり穴だよね

 今日は城でちょっとした壮行会が行われた。


 50年前に最後にアタックしたのは当時のS級パーティーだそうだ。

 S級3名A級5名からなる大陸でも有名なパーティーだった。


 余りにダンジョンで行方不明になる者が多発し、当時の国王が自らギルドに赴き、攻略を依頼し、当時のこの国をホームとする最強のメンバーで、国の宝剣まで貸し与えたとの噂が有った。その為だろう。まるで死地に俺達が赴くかのような難しい顔をした者ばかりだ。


 この世界のダンジョンの決まりは、俺が設定した死なないのは別だが、死亡者の持ち物の決まりがあった。


 本当に死ぬ場合だが、装備品がダンジョンマスターの物になるのは一つ前の死者のだ。最新のはボス部屋に置かれていて、2パーティーが連絡で死亡して初めて装備品がゲット出来る。


 つまり次に挑んだ者に権利があるのだ。


 どうやらリーリンもだが、やはり装備を回収したいようだ。


 攻略隊の後に誰もダンジョンに入れさせていない為、次に挑んだ者はいないから、ボス部屋に装備が残されている筈なのだ。


 噂は本当な気がした。

 どうしても回収しないと不味いのだろう。


 そして俺達は今はまさにボス部屋の扉の前だ。


 改めて皆に気合いを入れて挑む旨と、最悪美菜が生き残れば死者の蘇生が出来るから、最優先で、例え命と引き換えにしてでも守るように改めて伝えた。


 バラムとリーリンから、2人が最初に一点づつ死者の装備を回収させて欲しいと頼まれた。他は要らないからその代わりにと。


 やはり噂は本当っぽいと感じた。まあ、見てからだが、何かは伝えてくれるという。


 そして扉を開けてボスに挑む。部屋はいつものボス部屋だ。但しでかい。多分ルールが有るのだろう。直径100m位だった。



 全員が入ると扉が閉まった。


 中には装備品が散乱していた。死んだ後最後の一人が戦っていたからか、端にあるのが多いが一人だけ配置から死んだ時の状態のが有った。服は風化だろうかボロボロだ。


 そして陣形を取り、ボス出現に備えた。

 すると部屋の中央が光だしたが、その光の範囲がでかかった。


 どうやら西洋風のドラゴンだ。体長15m位だろうか?段々形がはっきりしてきた。


 俺は顕現完了と共に早速穴を開けた。

 直径20m位で、深さ20m位でだ。

 緑色のドラゴンだが、まだ動きが固まっていたからか、見事に嵌まった。

 頭部が辛うじて外に出ているが体にはかなりの土で押し付けられていて、身動きは出来ず既に虫の息だ。しかも顎が動かせないからブレスも無理だ。

 俺達はありったけの魔法をぶつけたのだが、意外にあっさりと首がもげて決着した。


 そしてその頭部もドロップを残し消えていった。体があった場所の空間に土が落ちる音もした。


 ボス戦は呆気なかった。


 リーリン「な、なんでダンジョンに穴が開けられるの?SSSランクの土魔法使いでも無理だぴょんよ!」


 俺のは魔法じゃなくギフトさと伝える納得させた。

 そして先の死亡者の装備の回収を始めたのであった。



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