第127話 心の準備が

 俺は帰宅後まずはお湯作りからスタートだ。

 やたらとデカイ給湯タンクが有るのだが、その中をお湯で満たすのは、タンクに組み込まれている魔道具の出番だ。

 屋敷の外と言うか、三階の裏手の飛び出したスペースにある。万が一漏水した場合被害を最小限に済ませるのと、ポンプなど無いから高い所からの高低差を使った重力の力がないとお湯を供給出来ないからだ。


 発注者は愚か者だが、設計施工はプロのようだ。


 そして、この魔道具は大量の魔力を要する。

 しかし、普通は魔力を込めても魔力不足でどうにもならず、代わりに魔石を魔力源として使う事になる。


 俺以外の勇者は魔力の殆どを使えば沸き上げが可能だ。俺はと言うと100回以上行ける。

 なので、俺の日課としてお湯を沸かすのが決まった。


 他にも魔道コンロや魔道オーブンもある。

 これらは何とかメイド達で賄える。


 また、照明用の魔力は一元供給で、これも1日一度俺の仕事だ。


 上水も引かれているが、トイレの水も魔道具で供給している。これは魔力0の者以外は自前の魔力でなんとかなる。

 念の為、魔石を籠に入れて常備し、魔石を使用したらその人が倉庫に取りに行き、補充する決まりにした。転売以外は持ち出し自由にして、日に一度使用人が、在庫をチェックし、少なくなったら俺の所に取りに来る仕組みにした。


 早速の試運転だが、何故か城から引き渡した屋敷の確認と称して何人かが見に来ていた。

 俺がさくっと沸かしたので驚く者が多数いた。それと、トトカルチョのようなのをしていたようで、俺が一発で行けるか否か掛けていたようだ。


 まあ、城の者なんかそんなもんかとかスルーしていた。良く見ると20代と思われる若い奴等だ。多分国王の昔からの知人や友人だろう。ノリが軽すぎだ。


 多分心配して俺の人となりを見に来たのだろう。


 本気で心配しての行動だと思った。この国王はやはり当初の見立て通りの善良な性質の者で、良識ある為政者だと確信した。


 また、食事も限られた食材と揃っていないし、鍋等の調理器具等も不足している悪条件で苦労しながらも何とか形になっていた。


 俺は屋敷の使用人も含め全員をテーブルに着かせ、食事を並べて貰った。そして準備が出来たので


 聡太「改めてこの屋敷の主になったトニー改め聡太です。冒険者パーティージゴロのリーダーで、召喚された所謂、勇者でもあります。縁有ってこの国に来て、多くの知己を得ました。救った者もいます。これからジゴロのメンバーと同じく召喚された仲間と共に変異に立ち向かいます。その為屋敷の事は使用人となって頂ける皆さんに丸投げになってしまうと思います。ですが、私達は皆さんをただの使用人とは思いません。一緒に苦楽を共にする仲間です。勿論住み込みは強制しません。また希望されるならいつまでもいて頂いても結構です。ここは我らの仲間、家族の幸せの第一歩なんです。皆で幸せになりましょう!乾杯」


 と食事が済み、一番風呂は俺になった。貴族のしきたりは捨てさせた。メイドが体を洗うというからだ。


 今日はリリア、ミーコ、エミリーと妻達と入った。

 その後少し執務室でやることをし、就寝となった。

 予め寝室に先に横になっていると言われて寝室に行くとサーヤが待っていた。

 そう、今日から一人づつ娶る事になったからで、順番は伝えられていなかった。

 そして二人は一つになり、やがて眠りに落ちるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る