第53話 中級層へ

 時は俺が6階層へ降りるちょっと前に遡る


 リリアとエミリーが俺を待っている時だが、先行するパーティーから話し掛けられていた。


 女性「こんにちは。二人でダンジョンに潜っておられるのですか?」


 リリア「いえ、夫と妻二人の3人パーティで、今は夫が来るのを待っているのですよ。そちらは?」


 女性「いいなあー夫婦でパーティーか!憧れるわ。こちらはね8人なの。本当は9人なのだけれども、リーダーが行方不明なの。今は時間を見つけては仲間で捜索をしているのだけれども中々見つからなくって。って初対面の方にするような話じゃなかったですね」


 男「おーいりっちゃん!何やってるの?置いてくよ!」


 女性「もう少しお話していたかったけれどもまたご縁があればね!それではお先に失礼します!」礼儀正しくお辞儀して去っていく女性と別れるが、リリアはどこか引っ掛かっている。


 リリア「ねえエミリー、あの女性達どこかで見た気がするのだけど見た事無い?」


 エミリー「少なくとも私が受け付けた事はないわね。食堂か何かで見たのかもね」


 リリア「そうよね。しかしトニーは何をしてるのかしら。遅いわね」


 そんなやり取りの後俺が現れたのだった。


 実は5階層までは1時間位で行けている。


 10階層迄は特に何もなく、先のパーティーが魔物を倒しているからだろうか?ほぼ出ない。


 楽をして進ませて貰っている。通常魔物がリポップするまで1時間程という。勿論ボス部屋は違うが。


 彼らには悪いが俺達の露払いを担って貰おう!俺は基本的に楽をしたい。手抜き大好きだ!


 討ち漏らしとか、偶々リポップのタイミングとかで僅かに相対するので終わる。


 一時間位でボス部屋に着いたが、既に扉は開いていた。


 聡太「先行している奴ら中々早いな」


 エミリー「8人組と言われてましたよ」


 聡太「そうか、人数が多いからサクサク行くんだろうな。俺達もついて行くぜ」


 リリア「あれ?追い越そうぜ!じゃないの?」


 聡太「なんで?中級層抜けるまでは大して強いのはいない筈だから、奴らが露払いしてくれるなら楽で来るからさ」


 リリア「呆れた~体が鈍るわよ!」


 聡太「夜に使う体力は残したいからね!」


 リリア「トニーのあほたれ!もうしょうがないわね。ふふふおばかさんなんだから」


 聡太「やっとリリアが笑ったな!さあ行こうか!」


 ボス部屋はオークナイトがオーク2匹を引き連れていた。


 聡太「一人一体ねまずリリアが選び、次エミリーね。俺は余り者つー事でね!行くよー」


 結局俺にナイトを回してきたがあまいい。袈裟懸けに切り付けるが剣でガードするも力任せに強引に切り裂いた。

 二人もステータスの高さにものを言わせさくっと倒す。

 ドロップは魔石と乗用馬車だ。馬はいないが、魔力を込めるか魔石を使えば重さが軽減される特別仕様だ。内装はチープだったが。


 聡太「俺なら問題がないが、こんなん普通持ち帰れないやろ!何故だ!?」


 リリア「別にいいんじゃないの?私達が困らなければ」


 聡太「そうだな。まあいっか。じゃあ先に行こうか!」

 軽いノリで先に進む。


 そこから一時間しないうちに五階位を進み、軽く昼休憩をする。通路を見張る形でお互い背を向けてだが、20分程の休息でまた進み出す。


 更に一時間位進み20階層のでボス部屋に着いたが、今は戦闘中のようだ。


 5分位で開き即中に入るが異常な光景があった。


 死体は無いが、ドロップの馬車と多分女性の二の腕より先の切断された腕が落ちていて、状況に混乱していると、扉が鈍い音共に閉まるのだった。ボス部屋に放置された物は一時間したらダンジョンに吸収される筈だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る