第34話 後処理

 俺は死体の検分を行い、お金や装備品を収納に入れた。死体もだ。

 念の為俺達のカードを確認する事になり、二人共白で皆安堵していた。犯罪者は赤いからだ。


 お金は40万G程になった。


 そして生き埋めにしたあいつだ。

 先ずは上部の土を退ける。

 そうして少しづつ土を退けると奴が生きていた。しぶとい奴だ。

 どうやったか分からないが生きてはいるが虫の息だ。

 俺はスロープ状に穴を掘り奴を捕まえに行く。

 フラフラなので剣の側面で殴り倒し、ロープで縛り外に出したのち穴を綺麗に埋め戻す。

 そして引きずって街に向かう。


 門で誰何されたので簡単に顛末を話しカードを見せると慌てて門番の一人ががギルドに報告に行く。


 間もなくギルドマスターが来て溜息をつく。

 処置を聞くと奴隷落ちだそうだ。多分鉱山奴隷になるであろうと。

 そして殺した奴の死体を詰め所で出す。

 ギルドマスターにもう一人は?と聞かれ、逃げられたと話すと賞金首として懸賞金を掛けるという。


 殺したや奴のカードも渡した。武器等はそのまま武器屋と防具屋に売りに行く事にする。

 そしてかの冒険者のお金は10万程の所持金とカードに400万程有るといい、俺達の物になるらしい。他の奴のもそうだ。4人の分は計200万程になる。

 また逃げてきた目撃者が先に報告していて、駐屯部隊が出撃する準備をしていたそうだ。


 なので俺達が襲われたのは皆の知る所となり、事後だが形式的に犯罪者の討伐依頼出すという。お金はどうするか聞かれたので、こいつらには価値を見出だせないから依頼を出せる最低額で伝えた。するとギルドマスターはニヤリと微笑んでいた。そして1Gの依頼とするが、代わりに冒険者ランクを一気にCに上げてくれる事になった。秘密にしろと言われたが、Cランクに上がる条件は亜人を含めた人を殺す事だからだ。ギルドマスターの権限ではCまでは一気に上げられるというので遠慮無く上げて貰う事にした。

 俺は何故か殺した忌避感がなく、この腐れ犯罪者め!位にしか思っていないのだ。

 そしてこのいつらの名前も見なかったし、知ろうともしなかった。奴も冒険者Aのままでやはり名前を知ろうともしなかった。


 そうして死体をギルドに運ぶと言うので、俺が収納に入れてギルドで出すというとギルドマスターが今この場にいる全員に俺の事を口止めした。理由はアイテムボックスのスキル持ちはよからぬ連中に付きまとわれるからと苦しい話をしていたが、門番はなぜか納得し、ギルドマスターと共にギルドに向かう。


 ギルドに着くとギルドマスターがエミリーを呼んだ。今なら対応中のが終わるとギルドマスターの所に行かなければなので並んでいた者は落胆するのだ。


 執務室に入る。

 小奇麗な部屋で8畳位で、奥に机と応接セット、書棚があるシンプルな感じだ。

 応接に座りギルドマスターがお茶を入れている。リリアにだ。

 それを飲ませている。そうこうしているとエミリーが部屋に入り、俺とリリアを見て驚いていた。


 そしてリリアがエミリーに抱きついてきて泣きじゃくっていた。緊張の糸が切れたようだ。何故かこの二人仲が良い。まるで姉妹のように。

 ギルドマスターはエミリーに会議室で休ませるのと付き添うよう指示を出した。これを予測してエミリーを呼んだっぽい。


 ギルドマスター「済まなかった。儂の判断ミスだ。追放じゃなく資格剥奪と国外追放にすべきだった」


 聡太「まあ結果論ですし、元々エミリーに付き纏ったあいつが悪いのですから、マスターが悪いわけじゃないですよ。リリアも犯されかけましたが服を破られる前に俺が殺しましたので清い体のままですから」


 マスター「そうか、取り返しのつかない事態じゃなくて幸いだ。今日は彼女を労ってやると良い。今日だけだと言い、希望を聞き入れてデートでもするのだな。女は直ぐに付け上がるでな、くれぐれも限定としておくんだぞ」


 聡太「経験からですか?」


 マスター「まあそんな所だ。ただ、一人は逃げたから注意しろよ。まあ国外追放とするよ。犯罪者だと国境を超えられず国内で悪さをするしお前さんも命を狙わるからな。あいつはシーフだから気配を消すのが得意だから気をつけろよ」


 聡太「それで発見が遅れたのか」


 マスター「まあそんなところじゃな。しかしお主のようなタイプの冒険者は珍しいのだよ。体はかなり鍛えていて無駄な肉は皆無だしな。しかし細いな。剣も使えるようだが魔法メインだろう?違うか?」


 聡太「剣タコというのも無いので恐らく今まで殆ど使っていないと思いますよ。ホール以外はアイスボールとかファイヤーボールが使えるのですが牽制にしか使えないんです。アイスボールは石を手で投げるのと同じ位の強さですからね。数はいけるので数撃ちゃ当たる感じで、まあ当たれば痛いっすからね。穴掘り特化のようですね」


 ギルドマスター「そのようだな。今日はもう休め。エミリーも付けてやるから」


 聡太「えっ!?」


 ギルドマスター「せめてアフターケア位はさせてくれ。あの二人は仲が良いのだろう?じゃなきゃ二人で嫁ぐなんて言わんからな」


 聡太「元々俺の事はそっちのけでひと目見て友達になろうとしたようですよ。俺の事も助けるまではリリアの恋人だ位でふーんという感じだったらしいので」


 ギルドマスター「そうなるとあいつも少しは役に立ったのか」


 聡太「それなんですけどね、甘いと言うかも分かりませんが、あいつも国外追放位に成りませんか?」


 ギルドマスター「無理だな。あいつの仲間が全員生きておればそれも可能だったろうが、今の奴は無理にでもこの国に戻ってきてお前に復讐をしようとするぞ」


 聡太「やはり考えが甘いですか?」


 ギルドマスター「確かに甘いな。まあそんな奴が嫌いじゃ無いが、その甘さがリリアさんのような事態を招き兼ねんのだよ。儂が甘かったようにな」


 聡太「そんなもんですかね」


 ドアがノックされ二人が入ってくる。


 ギルドマスター「落ち着いたか?済まなかったな」


 リリア「恥ずかしい所をお見せしましたがもう大丈夫です」


 ギルドマスター「今日は引き上げて聡太殿に二人して甘えて来い。今日は何でも言う事を聞いてくれるだろう。エミリー、お前も今日は上がれ。勤務扱いで俺の尻拭いでリリアさんのケアをさせているとするからな。ただし、若気の至りにならんように自重をするのだぞ」


 二人はお互い目を合わせ頷いてニッコリしている。

 そのニッコリが少し怖いがエミリーが着替えに行く。


 聡太「大丈夫か?腕を切り落とされてた上に強姦され掛けたんだぞ?」


 リリア「うん。心配ありがとう。そっちじゃないの。そっちはね純潔が散ると分かったら自決するつもりだったけど、初めて人を殺しちゃったから動揺してただけだから」


 ギルドマスター「おい!ひょっとして切断された腕をくっつけたのか?」


 聡太「よく分からないのですが何故か出来ちゃいました!」


 ギルドマスター「お前さんの能力に偏りがあるが、かなりの能力だぞ!あまり大ぴらにするなよ!」


 聡太「分かりました」


 と話しているとエミリーが戻ってきた。


 そしてギルドマスターの部屋を出て宿に着替えに行くのであった。

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