第18話 手紙

 朝目覚めるとリリアに抱きかかえられていて顔が胸に埋まっていた。俺は慌てて起きようとしてもつれて気が付くとリリアの胸を鷲掴みにしていた。


 リリアがきゃーという悲鳴と共に俺を弾き飛ばし、俺はベッドから落ちてしまった。


 リリア「い、今胸を触っていませんでした?」


 俺は寝ぼけていた振りをする


 聡太「?今ベッドから落ちて目が覚めたんだけど、俺は君に何かしてしまったかい?もし寝ぼけていて何かしていたら謝るよ」


 リリア「私の気のせいかもです。気にしないでください」


 そう言うとベッドを出て俺の前で何も気にしない感じで素っ裸になり服を着始めた。

 思わず見てしまいます。勿論即行で元気溌剌です。オロナミン○を飲んでファイト一発と叫びたい気分です!


 聡太「昨夜も気になったんだけど、俺の前で、裸になるって恥ずかしくないのか?」


 リリア「?何か問題が有りますか?いつもお師匠様の前で着替えてましたけど?」


 どうやらこの子は幸恵さんから性教育を受けていないっぽいと気がついた。そして一気に萎えた。


 聡太「真面目に聞くけど、男の裸を見たのって昨日のお風呂が初めてか?」


 リリア「はい、そうです。男の方の体と女の子の体ってどう違うのですか?聡太様の股間には私にはない物が有りましたがあれは何でしょうか?」


 聡太「うーんそれは後で説明してあげるし、それをちゃんと教えてあげないと隣町で冒険者なんてとても無理だからね。因みに子供はどうやって授かると幸恵さんのから聞いているんだい?」


 俺はどうせコウノトリが運んで来るとかそう言うのかと思ったが


 リリア「お師匠様に子供はどうやって授かるのかを聞いた時は、貴女は勇者様のご御寵愛を受け、大事にして貰えればちゃんとこのお腹に新しい命が宿るでしょう。どうしても知りたければ勇者様に手とり足取り教えて貰いなさい。喜んで教えてくれますよと言われました。そうなのですか?」


 俺は頭が痛くなりひょっとしてと思い幸恵さんの日記の最後のページを見た。そこにはメモが挟まっていて、それを見た俺は絶句した。俺への手紙だった。日本語で書かれていたのだ。


 拝啓勇者殿

 これを見ていると言う事は既に私が鬼籍に入った事を意味するのと、日本人が見ているという事です。


 私が調べた限りだと日本に帰る術は有りません。私のように時間を無駄にする必要は有りません。出来ればリリアを娶って幸せに生きてください。


 リリアは純粋な綺麗な心に育てた自慢の子です。勇者様を信奉するよう仕込んでおきました。あの子は勇者様に愛される事を喜びとするでしょう。あの子には申し訳ありませんがあの子の愛で勇者様を手助けし、貴方が変異を止めるしかこの世界の生きる道がありません。私が授かった予知のギフトが告げています。あの子はこれから戦いの日々に身を委ねる事になる貴方への褒美と癒やしの存在です。私は一人の女の子の人生を歪めたのかも分かりませんが、彼女達を愛している気持ちに偽りはありません。どうかこの世界を救ってあげて下さい。それとリリアをお願いします。愛してあげてください。


 勇者様への宿題です。時間がなくあの子には性教育をしておりません。真面目にするも、欲望のままにするもあなた次第です。


 P.S この世界は一夫多妻制です。良かったですね!


 俺はため息をついた。


 この婆さん人畜無害な顔をしているがとんだ食わせものだった。

 要は好きにできる女を充てがうから変異とやらに立ち向かえと、報酬の先渡しと言う事だろう。しかしリリアを単に性欲の捌け口には出来ない。抱くならチャント心から愛してからにしたいと、遊びで抱いちゃあいかんと心に誓う。


 此処まで手の混んだ事をするのだから厳しい状況になるのかな。


 俺はリリアを手招きし手紙を渡したが、案の定読めなかった。


 リリア「これには何が書かれているのかお聞きしてもよろしいでしょうか?」


 聡太「うん。全部は無理だけど、俺への宿題とね君の事をいかに愛しているかというのと、君を俺に託すとのお願いだったよ。いずれ時が来れば読んであげるよ」


 リリア「それじゃあ勇者様と一緒にいてもよいのですよね?」


 聡太「うん。そういう事だよ。まず君のお師匠様の宿題をするよ。それと勇者様じゃなくて聡太と呼んでほしいな」


 俺は真面目にする選択をした。そして既に彼女に対する保護欲が沸々と湧いてきた。


 男女の体の作りの違いや、どうやったら子供ができるのかと、恥じらいについて教えた。先程試したが裸になるように言うと素直に従い、脱ごうとするので止めさせてすぐ服を着させ、人前で、俺以外の男の前で裸になったりしてはいけませんと、今のように裸になれと言われたら恥ずかしと思うように説明した。

 彼女の裸体を拝みたいとは思ったが、それは男としてやっちゃあいかん卑劣な事だと頭に警笛が響き踏みとどまった。


 葬儀の時間が差し迫ってきたので、準備をし村人が集まるのを待つのであった。

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