第14話 行方不明

 魔術師の魔法で終了の合図が出て、皆が戻ってくる。しかし数名が戻らない。美菜は律子に抱きついてオロオロしっぱなしだ。そう、穴吹 聡太が戻らないのだ。

 そうしていると騎士団団長の元に顔が青ざめた二人の騎士が報告をしている。

 それによると高山、田邉、穴吹、穴吹の指導騎士デービッドこの4名が崖より落下して死亡したと。この2名の騎士が目撃したという。傷だらけの騎士で激しい戦闘を物語っている。


 報告だと穴吹とデービッドが魔物の群れに襲われ戦っている最中に、魔物に追われ我を失い駆け出して逃げていた田邉と高山が、穴吹達が戦っている所についてしまった。戦いの最中に穴吹のアースホールで弱くなった地盤に一気に大量の魔物が踏み入ったものだから、周辺の地盤が崩れ4人が落下してしまったと。2人が追いついた直後に目の前で落下していったという。


 高山、田邉、デービッドの死体は崖下にあり見つかったが、穴吹の死体は恐らく川に流されたという。


 指導員の騎士と宮廷魔術師と一人の神官を除き捜索隊として捜索と死体の回収に向かうという。


 神官は帰路に着く見習い勇者の引率だ。

 美菜の動揺をみんな見ていられなかった。律子も沙友理も顔面蒼白だ。

 みっちゃん「穴吹君も言っていたでしょ?死体を見るまでは信じるなって。彼が簡単に死ぬわけ無いでしょう!信じるのよ!絶対に生きているって。少なくとも一年は待つのよ。いいわね?」


 7人が頷き終始沈痛な表情のまま、それ以降誰も何も発せず帰路についた。そう言う。道村の動揺も激しかった。本来あってはならない教師と生徒の恋。道村は自分が颯太に惹かれていた事を今更気が付き、皆を諭したと言うよりは自らに言い聞かせていたのだった。

 早馬の報告を聞き国王が愕然とした。甥っ子のデービッドが死んだと聞かされたからだ。

 そして追加の召喚を指示したのであった。


 捜索は一週間に渡り行われたが、遂に穴吹の死体は見つからず、捜索が打ち切られたのであった。


 道村が1年と言うのは、1年を冒険者として過ごす。それ以降は変異の対処をする事になるから、それまでがタイムリミットだったからだ。

 彼女達は8人でパーティを組み、聡太の帰りを信じて待つのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る