第13話  転落

騎士に促されるまま森を進んで行き15分位した頃に何かがゴソゴソ動く気配がした。

ヤブの中から棍棒を持った小学生位の背丈の痩せた緑色をしたキモい奴が出てきた。俺は思わず一歩下がり剣を構えた。それは見事な美女だへっぷり腰だ。


 走っりながら上段からの構えで棍棒をふりかざして来たが、咄嗟に剣で弾く。

腕が痺れる。

そうすると蹌踉めいたので剣を横に薙ぐ。しかし左腕を中半ば切断するに終わると、必死の形相で棍棒を振って来た。思わず尻餅を着くが頭上を棍棒が空を切って行く。夢中で剣を振ったら首に刺さり、間もなく死んだ。俺は情けない事に恐怖で失禁していた。騎士には見られていない筈なので心で『クリーン』と唱えると失禁の痕跡や返り血が無くなった。


 教えられた様に心臓の横にある魔石を抜き取りクリーンを掛けてから背嚢に入れる振りをして、収納に入れた。


 俺が騎士の元に戻ると、っちという舌打ちが聞こえた気がする。


 更に奥へ奥へと進み5分位でまたゴブリンが出た。しかも2匹だ。慌てて逃げるも騎士がいない。ちょっとした空間に出たのでゴブリンに向き合う。ほぼ二匹同時だが足元にアースホールを出して転ばせた。一匹は頭を打ち気絶し、もう一匹は立ち上がろうとする。俺はそいつの脳天に剣を叩き付け脳漿を撒き散らせて絶命した。もう一匹は拾った棍棒を頭に叩き付け頭を潰して倒したのだった。


 そして魔石を抜き取り暫くして騎士が戻って来た。


騎士「悪い悪い、小便しててさ。って二匹同時か!やるねえ兄ちゃん。よしどんどん行くぞ」

再び合流し、言われるがままに更に奥に進むのであった。


 俺は嫌な予感しかしないが今の所何も無い。


 やたらとゴブリンが出てきて既に10匹目だ。そして、ピコーンと言うアラームと共に画面面にレベルアップと表示し、スキルポイント1を獲得しました。と出てきた。そうして更に奥に進む。


二時間位進んだだろうか?

 崖の上に出たようだ。

 念の為にボイスレコーダーのアプリを起動している。俺の収納の便利な所は収納の都度、収納する物単位で時間停止の有無を設定できる。設定しないと、時間停止有りだ。

時間停止をしない場合電子機器は収納の中でもって稼働している。ボイスレコーダーが使えるのは検証済みだ。

 先の騎士の小便が胡散臭いと思い、ボイスレコーダーを起動して録音中だ。


 崖の下は川のようだ。

 下を見ていると突然背後から魔法攻撃を喰らった。俺はよろめき崖から落ち掛けて辛うじて何かに掴まり何とか崖から上がろうとした。そうすると高山が俺を見下ろし


高山「悪いな。お前に恨みはないが、お前を殺さないと俺が殺されるんだ」


 俺の手を踏んで崖から落とそうとしているが、躊躇している。


 そうすると突然頭を何かに殴られてあっさり崖から落下していった。


 次に現れたのは田邊とデービットで、助かったと思ったら間違いだった。


田邊「いい様だな穴吹よ。まあ死んでくれや。お前の女は俺が可愛がってやるよ」


デービット「兄ちゃん恨みはないが、お前とさっきの奴を国王陛下から始末しろと言われているのさ。なあ田邊、こいつを処刑したらあいつの女の権利はお前のだぞ」


 そう言われ、俺がやめろと叫んでも聞く耳を持たず俺の手を二人が踏みつけてきた。

 そして俺は落下していく。俺はアースホールを使い、奴らの足元に穴を2つ開け、奴らの真上に掘った土を出して、ファイヤーボールを落下しつつ出しまくった。そして俺は木に当たり岩に体をぶつけながら、落下していった。そして川に落下し意識を失ったのだった。


 川に落ちる寸前に見たのは田邉とデービッドが崖下に落下していくのと、崖下に転落した高山の死体だった。

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