第12話 実戦

 朝多分5時位だろうか。今日も美菜、律子、沙友理の4人と一緒の部屋だ。早速着替えて出発だ。

 朝食は馬車の中でと言っていたので馬車の中に既に準備してある筈だ。


 部屋を出ようとすると美菜が俺の裾を引く。


美菜「そのね、聡太、私怖いの。今日魔物と戦うのでしょ?怖いの。聡太が死んじゃうじゃないかって」


 俺はそっと美菜を抱き締めると美菜の震えは止まりそして見つめ合った。美菜は目を閉じたので俺はそっと唇を重ねる、そうすると美菜は俺の手を美菜心臓の所に持ってきて


美菜「私ドキドキしているの分かる?約束してね!一緒に帰ってくるって」


 おれは頷きちょっとだけ揉んじゃった。何も言ってこなかったたけどちょっとムスッとしていたな。やっぱ可愛いよな。もう一度キスをすると様子を見ていた律子と沙友理にもやっぱりキスをする事になった。


 広間に皆が段々と集まってくる。10人乗りの馬車に乗る。兵士の運搬用だ。5台に分乗なので9名が4台、8名が1台だ。8名のには騎士団の団長が乗るそうだが、勿論俺の乗る馬車のメンバーは昨夜集まった面々だ。


 生徒以外では神官と各自に一人の指導員が同行するので総勢10台の馬車で移動する。


 まだ暗くて街は良く分からないが、月明かり以外殆ど真っ暗だ。街灯は僅かにあるが、照度が低く明るくない。


 間もなくして城壁を超えて街道に出た。目的地には1時間半位進むのだそうだ。

 馬車の揺れはきつかった。ダンパーなどという洒落たものは無いので、道の凹凸をもろに拾う。

 兵士の運搬用で、横長の長椅子にショボいクッションしかない。

 そう言えば馬車に乗る前に大輔達にこっそり言われた、


大輔「あのな聡太、俺は優子さんと、友樹も雪乃さんと本当に付き合う事になったから報告しとくよ。演技とかじゃないからね」


 そして先生にも


みっちゃん「ねえ、穴吹君の彼女になる事だけど、本気を見せなければ行けなければA,Bまでなら大丈夫だからね。それと、もし地球に帰れないなら養ってね」


 最後の方はよく聞こえなかったが、気の所為か養ってねと言われたような気がする。まさかみっちゃんがねえ。まあ今は不安なんだろう。


 俺の隣は時折変わる感じで、常に腕を組まれて胸を押し付けてきている。胸の感触が心地よい。と言うか揉みたい。いかんいかん。真面目にしないと。


 みっちゃんが不安そうなので一度隣に座ると緊張しているのがよくわかる。脚に手をやり、真っ赤になっているが俺の手に重ねてきた。俺は手を握り


聡太「ね、みっちゃん大丈夫だからね。落ち着こうね。剣で無理に戦う必要はないし、魔法を使えば良いからとにかく落ち着けば大丈夫だからね」


 どちらが大人なのか分からないが、男と女の差としよう。と言っても大学を出たばかりの

 子供っぽい概観だけど、改めて見るとみっちゃんは大人の女性なんだなとちょっとドキッとしてしまった。それでも高々22歳の若い女性だからそりゃあ怖いよな。


俺は皆を励まし士気を上げるようにアドバイス等をしていた。


 皆攻撃魔法を持っている。みっちゃんは風、土、火だ。


 44人中直接の攻撃魔法を持っていないのは俺だけだ。取り敢えずそういう事になる。少なくとも今日は監視がいるので魔法はホールしか使えない。


 今日は軽量の革鎧とブロードソード、予備武器の短剣、ナイフを装備だ。念の為元の荷物などは9人は全て収納に入れている。頭はハチマキに額当ての金属が、付いたのを着けている。ヘルムは慣れが必要と言われたからだ。


 そうしていると目的地に着いた。鬱蒼としたあまり気持ちの良いとは言えない小高い山の中腹にある森だ。そして今は街道から少し外れた森の入り口にいる。


 まずは同行する騎士とペアを組んだ。


 俺と同行する騎士はデービットと言った身なりの良い金髪の騎士だ。身長は俺より少し低い。歳は20代後半だろう。


 今日の訓練は昼過ぎまで騎士と行動を共にし、この森にいるゴブリンやらオーク、獣型の魔物を駆除する。改めて騎士より解体用のナイフを支給された。そして10本位の投擲用のナイフをベルトに装備してもらった。


馬車の護衛に残る中に魔道士が居て、上空で爆発するエクスプローションを数回発動すると訓練を一旦辞めて馬車に戻るように言われている。

 俺は背囊を背負い、水筒にいれた水を持っている。まあ不要なのだが収納を持っていない事にしているので必要だった。


 出席番号順に出発する事になっていて50音順だったので俺がトップバッターだ。


 一部の男子からお前が死んだら美菜ちゃんは俺が可愛がってやるよとか気をつけてなとか色々声を掛けられたが、俺は


聡太「駅伝ランナーを舐めるなよ!いざとなったらきっちり逃げ切るさ!」


 わざとおどけて言い、笑いの声中、手を振りながら森の中に入っていくのであった。

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